100円のジャケット

 元旦は郵便が三回配達されました。


 まずは午前中にアルバイト高校生が年賀状をもってきてくれました。

そしてお昼に赤いバイクでダイレクトメールを届けてくれました。


 すごいねえ、年賀状を優先して配達してくれているんだなあと感激していたら、午後にまた郵便バイクがやってきて「はい、EXパックでーす」と持ってきてくれました。


 おおお、なんだっけなんだっけと開けてみたら、ジャケットであります。


 じつは去年の暮れにネットオークションに出ていたジャケットを100円で落札したのであります。それが想定外の元旦に届きました。


 女房がちょうど台所にいたときに届きましたので、ナイショナイショで部屋に持ってくることができました。ほっ。


 べつにわるいことをしているわけでもないんですが、いつもロクでもないものばかり買って部屋を散らかしているので、ネットオークションでなにかを買ったというのが知れるとそのつど怒られるのです。


 ホントは、「100円で買ったんだよ。オトクだねえ」と得意になって見せたいところですが、ここは寂しくしばらく洋服だんすのなかに入れといて、ホトボリがさめたころになにげなく着て「あら、そんなのあったかしら?」「ん、前から持ってたよ」「あら、そうだっけ」という試練を終えてからそのジャケットは市民権を得ることになります。






 はい、これがそのジャケットです。なんだかおんなじようなのばかりもってますねえ。

でも、ナイショで買う場合、同じようなのじゃないとすぐバレちゃうんですよ。えーん。



 タンスにしまう前に、やはり一度着てみます。どんな感じかなって鏡に映して、そのあと、「すまんすまん。しばらく辛抱しておくれ」と言いながら片づけるのであります。


 ですから、大急ぎで包みを開け、大急ぎで着て


 ・・・あれ、なんか着れません。


 どうしたんだろう? 肩が入っていかないような、ええい、そんなわけはないぞ、Lサイズだからだいじょうぶなはずだぞとむりやり着てみたら、やっぱり肩のあたりがへん。服がツッパって腕を下におろせない。ウルトラマンに出てくるピグモン状態というか、「な、なんじゃこりゃー」とうろたえていたら階段を上がってくる足音。


 女房です。きゃー。


 大急ぎでジャケットを脱ぎ、大急ぎでタンスに投げこんで、それからジャケットに触れていません。ああ、気になります。どうしてLなのに着れないのー。もしかして、この年末年始にわたしのサイズがLを超えてしまったということでしょうか。どきっ。




uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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