はじめて酔っぱらったときの思い出

 
 
  はじめて酔っぱらったのはハタチの同級会。それまでも飲んだことはあったけれど(時効だ)、それほど酔ったという感覚はなかった。 
 
 その日は飲むにつれ体と心がとても気持ちよくなり、ああ、これが酔っぱらうってことなんだなと思った。
 
 この気持ちよさをずっと維持していきたくて、さらに飲んだ。グビグビ飲んだ。
仲間たちから「おおっ!」と喚声があがり、さらにいい気になって飲んだ。
 
 そのうち、意識もうろう。
 倒れるように寝た。倒れた先に女の子の膝があった。
狙ったわけじゃないが、膝枕。スヤスヤ寝た。
 
 その女の子に惚れていたオトコの怒っている声が聞こえ、ゴロンと転がされた。
まあ、しょうがないな。
 
 その後、集まりはおひらきとなり解散。雪の降っている夜だった。べろべろになって仲間たちと歩いていたけど、飲みすぎでその場で寝てしまいたいと思った。一人だったら、雪の中で寝て冷たくなっていたかもしれない。
 
 家には帰らず、仲間のところにいって寝た。
いや、寝たといっても熟睡はできず、朝まで気持ちわるさに苦しんだ。
 
 次の日、膝枕で寝ちゃった女の子の家に電話した。自宅から電話すると親が聞いているので、近所の酒屋の公衆電話からかけた。
 
 
 「あ、あの、酔っぱらって迷惑かけちまいました。ごめん」
情けなさ120パーセント。
 
  
 「ふふふ」と笑って
 「可愛いかったわよ」と言ってくれたのがすくいだ。
 
 
 その女の子、国交省に勉めて偉くなってる。
 
 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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