ビロー トーク

 「夜明けと同時に走りはじめよう」・・・なーんて思って、ホントに走っちゃって、走りだしてから気づいたんだよね、「そーいや、まだトイレいってねーし」って。
 
 ま、そうなったら途中で戻ってくればいいやって、かるーく考えていたんだけど、それが悲劇の始まりよ。
 
 あ、今回の話はビロウよ、ビロウ。英語で言うと「ビロートーク」ざんす(ホントか)。お食事中に読んではいけません。
 
 
 だいたい6キロくらい走ったら、「ん、やっぱりダメかも」なんていう大腸からの微かな信号を感じ、だいじょうぶだろうと思いつつも、念のためいったん家に戻ってスッキリしてからまた走りはじめることにして、いままで走ってきた道をUターンしたわけざんす。
 
 しかしその数分後には、大腸方面の信号が直腸からの「おっとー! とうとつですがかなーり危険ですぜ!」という信号にかわり、「ヤバイ。家までもたないかもしれない」という予感に変わってきたのよね。いや、予感というより確信。急激にやってきた限界。
 
 「こちらはいつでもOKですぜ旦那!」という直腸からの実直な信号を受け、かなーり戸惑うアタシ。
 
 うわー、これはヤバいぜ・・・そう感じたわたしは、T字路交差点を家の方向とは逆の左に曲がったのであったのよ。ちなみに、我が家は右に曲がってあと2キロと200メートル。
 
 なぜ家に向かわなかったかというと、左に進めば800メートル先にホームセンターがあって、そこの駐車場に屋外トイレがあることを知っていたからであるのよ、おほほ。
 
 いやー、しかし800メートルってのは切羽詰まったときは長い長い。なかなかたどり着きませんのよ。
 
 それまでは1キロ7分くらいのスピードで走っていたのに、「うわうわうわー!」と叫びながら走っていたその間は、手ものとGPS腕時計に出た数字はキロ3分50秒の好タイム。
 
 いやー、やればできるじゃん、おれ・・・なーんて感動する余裕はなく、いそげー、もれるー、このやろー! と、もうとにかくもらさずトイレにいくことばかり考えていたわけざんす。
 
 おっとー。そのホームセンター直前でウォーキングしているオジジ発見。
そのオヤジ、なんだか挙動が怪しい。オヤジもホームセンターに向かっているような気がする。もしかして、オヤジもトイレかー。それはイカン。このてのタイプはおしなべてウ○コは長い・・・あ、形状じゃなくて時間がね。
 
 こんなヤツに先に入られてしまったら、わたしの括約筋は耐えきれる自信がない。いや、ほぼダメ。いま現在かなり限界。いそげー、急がないとあとがないぞー・・・というわけで、オジジを抜いてホームセンターの駐車場にまっしぐらだコノヤロー。
 
 ・・・あ、しかし、どうしたこったい。
 
 トイレの入口にシャッターがあって、しっかりと閉っているではないか。
 な、なにかい、このトイレはホームセンターの営業時間以外は使っちゃいけないトイレなのかい?
 
 そんなら、広告にそう書いとけよー!
 豚コマが88円なんてことばかりじゃなくて、「営業時間外のトイレは使えません。早朝ランナーの皆さんは自宅でウ○コしてきてから走ってください」くらい書いとけよー、責任者出てこーい! いや、そんなこと思ってもシャッターのカギ持って「へい、すみません」なんて出てくるわけもなく、ただ出そうなのはウ○コだけ。
 
 こうなったら、シャッターの前にしゃがんでしちゃおうかと一瞬だけ思ったけれど、誰が見ているかわかんないし、やっとの思いで考え直し「そ、そうだ。近くにある公園までいこう。あそこにはトイレがあるじゃないか」と弱々しくも思い直し、幹線道路を突き抜けて公園内に突入。
 
 ・・・い、いや、しかし待て。
 いつも大勢の人で賑わう公園なのに「入ってはいけません」なんていうふざけた看板が出ているではないか。なんだよ、ここも営業時間なんてのあるのかよ。なに言ってんだオマエー。 ここで禁止なんて言われても、あたしゃ「はい、そうですか」なんて穏やかに対応できねー。
 
 その看板の向こうにトイレがあるのはわかってるんだ。
もう待てん。
 
 責任はオレがとる。ここでもらすより、責任とりまーす。逮捕されてもいいでーす。逮捕はウ○コのあとにしてくださーい。
 
 看板を脇目に公園内に入り、トイレに向かってダーッシュ!
 
 し、しかし、こんどはトイレの入口が「使用禁止」って書かれたテープでグルグルまきにされているではあーりませんか!
 
 だ、ダメじゃん・・・、さすがにここまで拒まれたら入ることはできんだろ。
 
 嗚呼、オレはどうしたらいいんだよ。パトラッシュ、ぼくもう疲れたよおおおお!
ホームセンターのトイレにも公園のトイレにも見放されたあ。肛門括約筋、もう限界。ウンピーちゃんが爽やかに「コンニチハ!」直前。


 ああ、イカン、圧倒的にイカンです。
 
 と、とにかく急ごう。
ここで立ちどまっていてもなにも解決しないのだあ。
 
 は、走ろう。オレはとにかく走るのだ。
家までもつのか、残り3200メートル。ダッシュだあ!
 
 
 その後のことは、プライベートなことでありますから、割愛させていただきます。
 
 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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