初体験の話をしよう
あれは大学一年生のときだと思う。
テレビの名画劇場で「マイウエィ」をやっていた。
中年のオヤジがマラソンする感動の映画だ。
風呂共同、台所共同、テレビ共同のアパート。その台所でみんなといっしょにテレビを見ていた。
もと男子寮だったところを改築して学生だけのアパートになっていた住み家で、家賃が光熱費こみで17000円。なかなか安い。
見終って「うーん、いかったいかった」と感動しつつ風呂に入り、すこやかに寝た。
何時だろうか、寒くて目がさめた。
尋常な寒さではない。裸で雪の降る外にいる感じ。ガタガタ震えた。
なんだなんだ? どうしてこんなに寒いんだ。
そのとき持っていた唯一の暖房器具の電気ストーブ(800W)のスイッチを入れ部屋を暖めた。
しかし、そんなものじゃ震えは止まらない。
布団をかぶってガタガタガタと震えていた。
そしたら、こんどは一気に暑くなった。いや、熱いんだな、体が。たぶん熱が出ていた。
しかし、体温計を持っていないので、どのくらいの熱なのかわからない。自分の感覚では、過去最高の熱と思われたのだが、記録できなくて残念。
朝になった。ほとんど動けない。
いつもなら、呼びもしないのにヒマな誰かが顔を出すってのに、その日に限って誰も来ない。
動く気になれない。水も飲みにいけない。ただフトンの中で苦しんでいた。
夜、やっと「おーっす」とやってきた仲間。
たしか二人来たんじゃないだろうか。
「カゼひいたあ。喉かわいたあ」と訴えたと思う。
コーラを買ってきてもらった。
金は払ったのかどうか覚えがない。
コーラの500。ホームサイズと呼ばれていた。当時はガラスの瓶だった。
一気に飲んだ。うまかった。冷たさと甘さがとっても心地よかった。
そしてまた寝た・・・というか気絶してた。
それがオレのインフルエンザ(たぶん)初体験。
後にも先にも、インフルエンザはそれ一回だけ。
いやー、あれは辛かったわ。辛すぎて医者にもいけなかったもの。
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