なんてこった的な出来事 その2

 こんなときは「さて、どうすっかな」と冷静に考えてみるのがいいのだ。



 いまわかっている事実は・・・

 スペアのカギは持っていない。

 合鍵は家にある(たぶん)。ということ。



 弟に「今日は休みか?」とLINEで連絡をとってみた。年が明けるとけっこう休みの多い弟の職場、もしかしたら家でヒマしているかもしれないと期待して送ってみたが、返事がない。今日は会社だったかもしれん。平日だしな。



 しょうがない、歩いて帰ろう。いま10時半だから1時間あれば帰られるかな。家までの距離は6キロくらいかな。うん、なんとかなりそう。



 というわけで、体育館から歩きはじめて10分ほど過ぎた。その段階で、かなりめげた。意外なほど歩みが遅い。ぜんぜん進んでいない。



 バッグが重い。たぶん20キロはあると思う。まさかこんなの持って長時間歩くことは想定していないから、体育館で使うのをなんでもかんでも詰めこんである。足首につける重りまで入ってるし。



 こんな重たいのを持って6キロの道のりを歩くのって辛すぎないかい。



 それに、のんびりしてたら婆さまの病院の午前の部が終わってしまうかもしれん。今日は午後からラジオがあるので、午前中に病院に連れていこうと思っていたのに、ちょっとヤバイかな。顔にあたる風が冷たくてさむーい。



 一旦体育館に戻ろうか。

 荷物をロッカーに入れて、身軽になって走って帰ろうか。



 トレパンは汗かいてビニール袋に入れちゃったけど、ランニングシューズはあるんだし。



 うん、そうしようか。



 回れ右して体育館に戻ってみたけど、さらに脳内に逡巡する声が・・・



 でも、普段着で街中を走るのって、ちょっとヤバくね? 不審者っぽくね?



 それに、今日はとことん足を使ったトレーニングをしたんだぜ。膝もモモもすでに痛いし。



 う、うん、戻りたくないな。

 それにせっかく今きた道を10分かけて戻るのってなんかイヤだもの。



 もう、このままいっちゃお。また回れ右。





 あー、風が強くなってきた。耳が痛てー。うわー、ひでー風。



 わわっ、冷てー?



 な、なんだこれ?



 もしかしたら雨か? まさか雨?



 あー、ほんとだ、雨だ。



 雨が降りはじめたじゃないか。どひー、なんてこったい。傘なんて持ってないぞ。



 うえーん、雨、つめてー。冬の雨、冷てー。さっきシャワーで頭洗ったのに、うきー。わー、強くなったきたぞ、雨。

 



 雨宿りできるところは・・・まわりには田んぼしかない。



 こうなったらブーツのまま走るしかないか。いや、もう足痛いし走りたくないってば。でも、このままじゃビショ濡れだぞ。



 えーんえーんと泣きながら早足で5分。江南区役所が見えたのでそこで雨宿りすることにした。



 とりあえず玄関口は屋根があるので雨には濡れない。



 足痛てー。肩も痛てー。頭濡れたー。

 さーて、どうしよう・・・と考えた。



 そうだ、この裏に消防署があるからそこいって消防車に乗せてもらって家まで帰っ・・・それやったら大問題になるってば、おい。



 そしたら目の前に車が止まってそこから声が!



 「フジタさん、どーしたっすか?」と。

 「?」



 そこには消防団の○×君が。



 「おーっ! じつはさー、カギをさー」と、わけを話して家まで乗せていってもらえることになった。



 地獄にホトケだなあ。

 うんうん、やっぱ、日ごろの行いがいいからな、オレ。



 「○×君ありがとう。いまはまだ一般団員のキミだけど、ボクが推薦してキミも消防団の幹部になれるよう根まわししとくね」



 「それ、ぜってーイヤですから」



 なんて会話をしながら家にいき、また体育館まで送ってもらって一件落着。ほんと、助かりましたわ。

 ○×君ありがとう。





 家に戻ってから弟から返事がきた。

 「寝てたぜ。なんだ?」



 お、おせーよ(′0`)




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