走る出会い

　公園の周りを走ることがある。

体育館の中を走るより、外を走るほうが何倍もステキだ。



　外は、風景が変わる。風が吹く。人がいる。



　最初はスポーツタオルを持ったまま走りはじめるのだが、二・三百メートルいったところにある東屋（あずまや）の木のベンチにタオルを置く。ずっと持ったままだと走りにくいから。



　最近、そのベンチに８０歳近いと思われるおじいさんが自転車を停めて座っていることがある。



　「オハヨーございます」と挨拶をすると「がんばるね」と声をかけてくれる。



　一周1.2キロのコース。次に東屋に来るときには、そのおじいさんはいなくなっている。



　先日も同じように木のベンチにタオルを置いて、いつものようにおじいさんに「がんばるね」と声をかけてもらい「はい」と返事をして走っていた。



　その日は、二周めのときも珍しくおじいさんがいた。

　「風でタオルが跳びそうだったので、ベンチの隙間に挟んでおいたよ」とわたしに言って、そして自転車を漕いで去っていった。ベンチの隙間にタオルをはさんでいたので、誰かがイタズラでもしたのだろうかと不愉快に感じてはイケナイと思い、わたしがまた戻ってくるまで待っていてくれたのかと思う。



　「ありがとうございます」と言いながら、とってもいい気持ちになった。



　べつの日に、阿賀野川の土手を走っていたら、小学校高学年と思われる男子児童が二人座って紙になにかを書いていた。わたしが近づいていくとあちらから「こんにちは」と声をかけてきた。



　「こんにちは。写生かい？」と聞いたら「いいえ、作文です」と返事があった。土手に腰かけ川の流れを見ながら作文を書く・・・そうだな、作文ってのは、リアルタイムに見えたことを書くのもありだなと思った。



　そうそう、昨日は走っているときに、あちら側から走ってきた知人と遭遇。

　「ちょうどよかった」と言われ、「なに？」と思ったら、自販機で飲みものを買ったら、そんなときに限って「当たり」が出てもう一本もらっちゃったそうで。



　しょうがないから二本持って走っていたけど、重たくてしょうがなかったので、それをわたしにくれるという。おー、ラッキー。わたしはなにも持たずに走っていたので、喉が渇いていたところ。ありがたくいただいた。



　わが家到間際。こんどは弟が車でわたしを追い抜きざまに「おす」と声をかけてきた。わたしが「オメーも走れ、デブってっぞ」と言ったら「オレはこれから仕事だ」と言って去っていった。



　走っていると、いろんな出会いがあって、ちょっといいかもしれない。

　いま、コスモスが花ざかり