あの人、嫌い


 アナタは思っている。


 「あの人、嫌い」って。



 だって、アナタにいじわるなことばかりしているから。


 


 アナタはあの人に嫌われないよういっしょうけんめい気をつかっているのに、あの人はあざ笑うかのようにアナタを扱う。 



 アナタのことを軽く見ている。

だから平気でアナタにいじわるをする。




 いつか怒鳴り返したい。でも、できない。

作り笑いで返事をするばかり。

 


 アナタはそれが気になって眠れない。


悔しくて情けなくて、眠れない。



 


 あなたは思ってる。

 あの人はきっとすんなり寝つく。

好きに生きているから、悩みなんてないんだ。


 自分の思うようにワガママに生きているから、しあわせなんだ、って。




 




 たいへんだね。そんな人がいると疲れちゃうね。

いつもあの人のことが、心にトゲみたいに刺さっちゃっているんだね。



 どうしたらいいんだろう。



 でも、わたしもホントはわからない。


あなたにどう言葉をかけたらいいのか、わからない。



 理詰めでアナタになにか言うことはできるのかもしれないけれど、それってアナタのための答えじゃない。アナタに納得したフリをさせるだけ。





 でも、たぶんひとつだけ言える。



 アナタは、あの人になりたくないでしょ?


 自由に生きているという、 あの人みたいにアナタはなりたくないでしょ?

 


 なりたいって思っているのなら、しょうがないけど・・・



 なりたくないって思っているなら、たぶんわたしといっしょ。


 わたしとアナタ、きっとアナタと同じ答えを探している。




 アナタがあの人だったら、わたしはきっとアナタと友だちにはならない。


 


 好き勝手にやっているあの人よりも、

せつなくて、ちょっと泣きそうになっているアナタが好きだもの。


 


 


 いまのアタナのせつなさは、


アナタがアナタでいるための、せつなさなんだ。と、思う。






 答えはまだわからないけれど、この先もずっとわからないかもしれないけれど、こうやってせつなくなっていること自体が、じつは無駄じゃないなって、ぼんやりだけどそう思う。



 うん、だいじょうぶ。アナタは負けてない。

アナタはがんばっている。

答えを探しているうちに、少しずつ強くなっていけるかもしれない。


 



 


uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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