アタリマエのこと。その2

 息子の保育園の送り迎えが、わたしの仕事だった。

 自転車の前のカゴに息子を載せて、毎日通った。


 保育園の先生が不思議がって息子に聞いたそうだ。

 「お父さんのお仕事はなに?」って。


 すると息子は

 「お父さんはね、パソコンを使ってね・・・」

 「うん、パソコンを使って?」

 「パソコンを使ってね、一日中ゲームして遊んでいる人なんだよ。すごいでしょー」

 と得意になって答えたそうだ。


 たしかに息子がヒザの上に載ってきたときはゲームをして遊んだ。しかし、それは息子がいるときだけである。その他の時間は、ちゃんとモノカキをしていた。ただ売れないだけで。


 さすがに先生も大のオトナが一日中ゲームばかりしているとは思わなかったようで、

 「でもー、お父さんはずっとゲームばかりじゃないよね?」と聞いたらしい。


 そこで息子は答えた。

 「うん、ゲームばかりじゃないよ」

 「そうだよね。じゃあ、ゲームの他はなにをしているのかな」

 「うん。ときどきお昼寝もするんだよ」


 とまあ、そんなふうな会話があったらしい。

 わたしが保育園に迎えにいったら、先生がうれしそうにそう教えてくれた。

 一日中ゲームをして、疲れたら寝るお父さん。もしかして、ホントにそんなふうに思ったのかも。








その当時の息子は「大きくなったらお父さんみたいになるの」って言っていた。

一日中ゲームをして、疲れたらおお昼寝する生活に憧れたのだろう。



uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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