嬉しいメール

 公式ホームページ経由で嬉しいメールをいただいた。


 新成人の女性からだった。

 「講演、よかったです」というメールで、とってもうれしかった。

 じつは、心配だったのだ。



 先日(8月15日)、長岡市和島で成人式の講演をやらせてもらった。

 正直なことを言うと、最初お話をいただいたときはお断わりしたのだ。毎年成人式はやかましいってニュースで流れているし、「荒れる新成人」なんて言葉まで出ているくらいだから。


 聞いてもらえない話をし続ける根性はわたしにはない。

 成人式の講演って、ある意味新成人の人たちへの思想の押し売りみたいなものかもしれない。聞きたいと思っているわけでもない人たちに向かってとうとうと語る虚しさ。


 だから、「わたしには無理だと思うんです」とお断わりしたのだが、担当の女性が「だいじょうぶです。和島の子たちは騒いだりしません。しっかりと話を聞く人たちです」と言っていた。それならばと、だまされたつもりで引き受けた。でも、ずっと不安だった。


 しかし、本当にしっかりとこちらを見て、こんなオヤジの話を最後まで聞いてくれていたのだった。うれしかった。ありがとう。







わたしの成人式は、もう三十年の前のことになってしまった。

県外にいた。

1月15日の朝に友だちがアパートきて「天気がいいから成人式いこう」と誘ってくれた。「じゃあ、いってみようか」と、ヒザに穴のあいたトレパンはいて出かけた。友だちはヨレヨレの革ジャンだった。


会場は晴れ着の女の子たちにスーツや袴姿の男の子たち。そんななかでボロを着たビンボウ学生のボクタチも、同じように混ざって体育館の中でお祝いしてもらった。


あのころも、会場はやかましかった。偉い人があいさつしようが、成人代表たちがステージでなにか言おうが、ガヤガヤと話し声ばかりで、だれもそんなの聞いてない。


たまりかねた新成人代表の一人の女の子が「失礼じゃないですか! 成人として恥ずかしくないですか!」とステージ上で叫んだ。それをまた茶化す新成人たち。なんてこった。


おとなしくしていたのは、自衛隊の制服を着て参加していた人たちだけ。彼らは立派だった。

そうやってボクタチも行儀がわるいって怒られた。

むかしから、新成人は怒られていたんだ。

それがけっしていいとは言わないが、過ぎてみるまでわからないことがあるのかもしれない。


和島の皆さん。

成人、おめでとうございます。



uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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