「和」の鰻

 S氏からお昼に鰻をご馳走になった。


 S氏の弟さんが出している店。新潟の老舗で10年修業し、その後は大阪で5年、さらに東京で修業を重ね、いま新潟に戻り黒崎町の黒鳥で和食の店を出している。


 そこの鰻なのだ。

 



 しっとりとして、やわらかい。それでいてグズグズと崩れたりしない。ちゃんと己の歯で噛んで、心地よい弾力と味を感じることのできる鰻であった。


 タレがまた絶妙。いわゆるウナギのタレであるから甘いのであるが、喉が渇くような甘さではない。ご飯と鰻とタレが混ざって、この味は・・・そう、いまのわたしに用意できる言葉では足りないくらい奥が深い。食べたらわかる。それしか言えない。とにかくいい。


 これだけの量を食べたのだ。じゅうぶん満足しているはずなのに、それでも、その場で「オカワリ」と言いたい衝動を抑えなければならなかった。こんなことははじめて。これまでは、いくらおいしいウナ重でも、オカワリしようなんて思ったことはなかった。



 これ以上語ってもこの店の味を伝える自信がないな。

 だから、もうまわりくどいことは言わない。


 「おいしかった」。ほんとだ。



uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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