2017.05.18 22:42旅:ベッドだけの部屋 実話であるから、彼女の本名は明かせない。 仮にB子としておこう。もう三十年も前の話だ。 当時、彼女は二十代前半。 付き合いはじめたばかりのオトコがいた。 その彼に誘われた。 泊まりの旅行にいかないかと。 「泊まりって・・・」 「・・・ダメかな?」 「ダメ・・・じゃないけど」 「...
2017.02.16 21:20心のご飯 本の資料を集めていた。 もっとも資料とはいっても、自分がもらったメールやメッセージや過去のエッセイなんだけど。 その中の一つ、メールを見つけた。 ある講演会での参加者さんの感想を教えてくださったメールだった。 その感想のひとつに 「昨日まで死を考えていましたが、大好きな先生の講...
2017.01.29 21:08水の流れるように 今朝は小川のそばにいるような音で目が覚めた。 雪が消え、雨音が聞こえるようになったんだ。 いま、「たいせつなあなたへ」に続く本を書いている。 心くるしむどこかの「あなた」のために。 いつ、どこから出るか、まだハッキリとしない本だけど。 こんな本を書くときは、いつも困る。 自己肯...
2016.12.23 18:41「わ」シリーズ:クリスマスイブエッセイ 以前、NHKの「お昼はじょんのびくらし情報便」(午前11時40分~生放送)で放送してもらった「サンタクロースの背中」です。 わたしたちの作った手作り絵本を、高橋 聡未(たかはし・さとみ)さんがとってもステキに読んでくださり感激でした。テレビの画面を見ながら、じーんとなっちゃい...
2016.11.21 22:05消さなくていい傷 体の傷が消えないように、心の傷も残ってしまうときがある。 でも、それはわざわざ消さなくもいいのかもしれない。 体の傷は、生きてきた証。 生きているから傷がつく。 心の傷も、生きてきた証。 生きているから傷もつく。 若いころは、傷がイヤだった。醜いと思った。 最近は、その醜さも...
2016.11.20 22:50「雪の匂い」忘れられてしまいそうなエッセイシリーズ 久しぶりの休日。 今日は七時に目が覚めた。 最近、四時半起きが続いていたから、なんだかたっぷり眠った気分になる。 会社勤めもせずに暮らしているもので、ほかの人からみればいつも休日みたいなのかもしれないが、それでもたまには忙しい。 外は雨。わたしは雨の音が好きなのだ。大地を打つ...
2016.11.13 22:50「赤点」・・・忘れられてしまわれそうなエッセイシリーズ「赤点」 ○/△(木)「オトーさん、あたし期末でとうとうとっちゃった」 「なにをよ?」 「赤点。数学30点。5点たりなかった」 「なんと」 「怒る?」 「もう、メチャクチャに怒る」 「でもね、でもね、アタシばっかりじゃないんだからね」 「よそは関係ないっ!」 「ふぁーい。でもね、...
2016.11.11 21:30「ニヒル路線の崩壊」 忘れられてしまわれそうシリーズ また息子が小学生のときの話を書く。 当時わたしは授業参観にはよく顔を出していた。 とくべつ教育熱心というわけではないが、妻が忙しくて仕事を休めないこともあり、そんなときは喜んで行っていた。 あいかわらず学校には父親の姿が少ない。共働きの家庭も多くなったのだろうが、仕事を休ん...
2016.11.06 22:03「そりてて」 忘れられてしまわれそうエッセイシリーズ 「そりてて」 息子が小学校一年生のときのこと・・・ その日のわたしは、締切りまぎわの原稿ができあがらずイライラしていた。 そんなときに階下から息子の泣き声がしはじめ、それがだんだんと大きくなってきたからイラつきが増幅し、ついにはドタドタと階段をおりていった。 そこには、泣...
2016.10.27 22:30たいせつな人 何度でも言います。 あなたは、あなたが思っているよりも、ずっとたいせつな人だと、わたしは何度でも言います。 あなたが自分のことをどんなにだめな人間だと思っていても、あなたのことをとてもたいせつに思っている人がいることに気づいてくれますように。 「そんな人・・・いない」とあな...
2016.09.21 20:36名作劇場「完全実話・特殊な運動」18禁ビロートーク特殊な運動 わたしがふだん行くお医者さんは、わたしよりも少しばかり年下の女性のいる病院である。 先代の院長先生のころからそこに通っている。院長先生が亡くなって、その娘さんが跡を継いでいる病院なのだ。 威張らず気どらず、そしてお笑いのノリのけっこういい、愛らしい人である。 もう...
2016.06.29 22:20今日はあなたへ向けて 以前、自分に向けて書いた「うつの情景・メモ」を、こんどはたいせつな「あなた」にあてて書いてみたかった。 自己陶酔とならないように、気をつけながら。 ************** この世から消えてしまいたい。 でも、自分では死なないつもり。かろうじて、それくらいの分別を持ってい...