うち、内科だから

 いつもの女医さんのところのお話。

 むかしむかしのことじゃった。



 以前から、診察室に入ってすぐのところにあるマシンが気になってしょうがなかった。


 それは、何年も前からずっとあった。 



 「先生。入口にある機械って、もしかして腰をマッサージするものですか?」
 先生、チラッとそれを見て

 「はい、そうだけど・・・」と言う。


 「あ、やっぱりね。じゃあ、わたしの腰をやってくださいよ。最近どーも痛くってねえ」


 母に頼まれた小松菜の種まきをしていたら、数日、腰のあたりが重い感じだったのだ。


 「え、ええ。でもー、よく使い方わかんないんですねえ、わたし」と言う弱気な先生。 


 よくわかんなくてもマシンを置いておくところがいいね。
 でも、「せっかくだから試しにやってみる?」って言ってくれたので


 「はいはい」とマシンに横たわった。


 腰にベルトを装着してもらってスイッチ・オン。
 でも、いつまでたっても腰をひっぱってくれない。ベルトはたるんだまま。


 「先生、動きませんよー」と言うと
 「やっぱり使い方がわかんない」って簡易マニュアルを見ながらいろんなボタンを押しているけど、みんなまちがっているみたい。
 「ほら、うちは内科だからさあ。こういうの使えなくってもさあ、さして問題もなくってさあ」って言い訳するけど、いいのかそれでー。

 「来週から一週間連続で通いますからね、月曜までに使い方をマスターしてくださいよー」と言ったら、先生は「はーい」と素直なお返事でございましたー。

 

 でも、結局なんにもしなくても腰の調子がよくなったし、メンドーになって通わなかったわたし。すみませーん。



uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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