アルコールはいかが

 はじめてしっかりと酒を飲んだとき、体が「ふわー」となって気持ちよかったのを覚えている。

 この感覚がずっと続いたらいいなと思った。酔いを醒ましちゃいけないと思ってどんどん飲んだ。そして、あっというまに「気持ちいい」を通りこした。


 冬の夜、仲間と街を歩いて、このまま道路に倒れこみたいなあという誘惑に耐えた。もしそこで寝ちゃったら、きっと死ぬもの。吐きそう吐きそう。具合がわるい。


 ときどきハッと正気に返る。さっきまでのオレはナンだったんだろうって思う。さっきのことは夢だったのだろうかと思う。でも、もちろん夢じゃない。正気に返ったと思っていても、それさえもあとから思えば夢の中。グデングデンに酔っぱらって歩き続けた。


 気がついたら仲間の家だった。

ストーブの前で、四、五人ゴロゴロ苦しんでいる。


 気持ちわるくてしょうがない。

 いったいどのくらい飲んだんだろう。歓声を浴び、コップの中味を空けていた。女の子の膝枕で寝ていたような気もするけど、すぐに誰かに移動させられた気もする(残念)。


 あのころは、自分の限界を知らなかった。いや、経験がないから知りようもなかったんだけど。

 いまなら途中で酔いつぶれて飲めなくなるけど、当時は体力があったから、つぶれず飲んだ。許容範囲を越えたアルコールが体に入って、グデングデン。なんどか吐いて、だんだんと上手になってきた。


 今夜は飲み会。

年齢とともに、穏やかな酒にかわっている。いいのかな、これで。



uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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