父のテレビ
じいちゃん(父)が新しくテレビを買いました。
いままでもじいちゃんの部屋にはテレビがあったのですが、アナログだったし室内アンテナで写りが悪かったしで、いつも「年金でもっといいテレビを買いたい」と言っていたのでした。
あるのでじゅうぶんだろうと思っていたわたしは、いい顔しませんでした。脳梗塞の後遺症で認知症になってる父だから、どうせ見てもよくわかんないだろなんてことも思っていましたし。
それでも、やっぱり「ほしいほしい」と言い続ける父でした。
母もかわいそうになり、一生にいちどくらい好きなものを買わせてやってくれと言いました。
そういえば、これまではいつも自分のほしいものは後まわしにしていた父かもしれません。
病気になってちょっと駄々っ子になって、それで初めて自分のほしいものを手に入れた父だったかもしれません。
もっとも、このテレビもわたしが選んだものです。
父はカタログを見てもわかりませんから、電気屋さんの奨めるテレビの中からわたしが選びました。
「じいちゃん、いいテレビだね。うれしいね」と言うと、「おう」と笑顔で返事をする父でした。
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