覚書 樹ノ音工房

 今年になって、福島の会津美里町に取材にいった。


 そこは、二度目。

 いつもやさしくボサノバが迎えてくれる。素朴な味わいのステキな工房。
 
 今回も、工房オーナーの奥様である塚本朱音(あかね)さんが、「いらっしゃい」と、シャイな笑顔で迎えてくれた。
 そこには、若い女性のお客さまがすでに5人。みなさん各地から陶芸体験をしにきている人たちだった。せわしない世間の雑事をここでは忘れ、朱音先生やスタッフの親切な指導を受けながら、ゆったりと粘土をいじって(まさに、いじって)いくのがいい。
 この工房に並べてある陶器には、絵の描かれてあるものが多い。それはみんな朱音先生の手描きによるもの。犬だったり猫だったり、小鳥だったりお花だったり。そして、それらがみんなやさしい物語を持っているような感じを受ける作品ばかり。かわいいビルの描かれている茶碗をひとついただいた。本当は1,650円という値札が貼ってあったのだが、わたしの持っている絵本「ちいさな手」と交換ということで、プレゼントしてくれた。
 工房の近くに、yuinoba(ユイノバ)というカフェがある。毎週土曜日日曜日、祝日祭日が営業日という、ちょっと変わったお店。そこには、樹ノ音工房作の陶器や、福島県内の手作りの品物が展示販売されている。
 古い蔵を改造して作ったというyuinoba(ユイノバ)。まさに樹ノ音工房の絵に出てくる建物そのものの雰囲気を持っている。
 入口のそばで、樹ノ音工房オーナーの佐藤 大寿(だいじゅ)さんが大きな陶器に色付けをしていた。写真を撮らせてもらっていいかと尋ねたら「これは秘密の作業だからゴメンね」ということだった。


 通産大臣指定伝統的工芸品・会津本郷焼の伝統工芸士が8人いるそうだが、そのうち2人が、こちらのご夫婦ということ。伝統を重んじ、新しい世界を知る二人。


 樹ノ音工房(キノオトコウボウ)
 代表者 佐藤大寿

 所在地 〒969-6116 福島県大沼郡会津美里町字瀬戸町3272-1

 tel 0242-56-5098

 fax 0242-56-2953

 URL http://www.kinooto.com/

 E-mail daiju@kinooto.com

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