サヨナラ、オヤナギ

 先日は義理の父を送ってきましたが、今日は消防団を通じた友人である小柳部長を送ることとなりました。わたしよりも10歳年下の42歳でした。


 急な報せを聞いて、文字通り耳を疑いました。わるい冗談は言わないでくださいと、電話で教えてくれた先輩に言っていました。

 でも、電話の向こうからは、

 「小柳が、亡くなった」

とくり返されるだけでした。


 前からちょっと病気はしていました。しかし、まさか死ぬなんて思っていませんでした。本人もきっとそうだったでしょう。
 
 
 
「ありがとうね」と泣きながら棺に花を入れるおかあさん。
そして、

「また会おうね」

「待っててね」

「あちらでは元気でね」と、最後のお別れで、棺から離れられないおかあさん。
「バレンタインのチョコレート、会社の人がくれたんだよ。よかったね」と、彼の顔をなでながら泣き続けるおかあさん。
 
 


ダメだなあ、親より先にいっちまうのはイカンよ、小柳。
最後に親不孝しちまったなあ。
でも、オマエだって死にたくなかったよな。
 
 
 出棺のとき、我ら消防団員は敬礼して送りました。

敬礼のまま、じっと彼の乗った車を目で追いました。
 
 まばたきはしませんでした。

しちゃったら、涙がとめどもなく落ちちゃいますから。カッコわるいですから。
 
 サヨナラ、小柳。
 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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