いい人たちの国

 地震が起きて以来、直接の被災者でなくとも苦しんでいる人がいる。いっしょになって、せつない気持ちになっている人がいる。
 
 
 あそこに苦しんでいる人がいるのに自分が笑っちゃいけないとか、思うように食べられない人がいるのに、自分がおいしいものを食べていちゃ申しわけないとか。
 
 
 それらの不幸は、あえて誤解を恐れず言ってしまえば、いわゆる他人事でしかないというのに、それでも悲しむ人がいる。
 
  日本って国は、いい人が大ぜいいる国なのだと思った。他人の痛みを自分の痛みと思える人の住む国なんだと思った。
 
 被災者の言葉が出ていた。
 「わたしたちは、人の幸せを妬むほどおちぶれてはいない」と。
 
 そうなのだ。
 わたしたちは元気にしていていいのだ。
 笑っていていいのだ。おいしいものを食べたっていいのだ。
 
 いや、元気になっていよう。楽しんでいよう。笑っていよう。
 
 わたしたちがあの地震のことで泣いたり立ちどまったりするのは、もっとずっとあとになってからでいい。いまは、元気に前に進もう。
 
 いま、日本は辛い時期に入っているけれど、こんなにいい人たちがいっぱいいるんだもの。だから大丈夫だと思った。
 
 がんばれニッポン。あきらめないぞ、ニッポン。
 

 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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