人としての意地

 黒犬のハチがサバの水煮缶を食っていた。正確には、ご飯とサバ缶を混ぜた犬メシであるけれど。
 
 しかし、犬なのに人間様と同じのを食ってナマイキだ。しかも、サバ缶はわたしの大好物。
 
 安売りで買った105円のサバ缶(噂によれば95円のもあるそうだけど)を食ってるハチ。
 
 もっとも、ドッグフードの缶詰はもっと高かったりするので、栄養バランスを考えなければ経済的といえるのかもしれない。ま、いっかー。
 
 いや、よくない。ハチが食ったのと同じのを食べるのは、どーも人としてのプライドが傷ついてよくない。
 
 そんなわけで、わたしは意を決して秘蔵の185円サバ缶を食った。
 
 味は、さすが80円高いだけあって・・・ということもなく、ただ量が多いから高かったような気がする。いつも食ってる105円でじゅうぶんだ。
 
 しかも、多すぎて残しちゃって、けっきょくハチにあげてしまった。
 
 それをもらったハチは、185円だからといってとくにありがたがることもなく、105円のと同じように黙々と食べていた。
 
 ハチってオトナだ。
 
 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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