はじめての思い出
はじめてエクレアを食べたのは、22歳のときだった。エクレアという名前もそのときはじめて知った。
と、先日エクレアを食べながら妻に言ったら「そんなことを覚えているなんて信じられなーい」と言われた。
妻は、物心ついたときからエクレアを食べているから、いつがはじめてなのかなんてわからないそうだ。
ついでに言うと、はじめてケーキを食べたのは、小学校4年生のとき。そのケーキは、いまではあまり見かけなくなったバタークリームだった。
その年から、父が農閑期に街のパン工場に働きに出るようになり、12月24日にクリスマスケーキを買ってきてくれたのだ。
硬めのクリームを口に含み、モッタイナイから噛まずにゆっくりととかして食べていた。アンコとちがった甘さに感激し、脳まで溶けそうになった。
わたしの隣には五歳ちがいの弟がいて、ほほにベッタリとクリームをつけながら、うれしそうに食べていた。
いまとちがってモノが溢れているわけではなかったが、子どもながらに漠然と「しあわせだな」と感じていた時代であった。
ああ、なんだかバタークリームのケーキが食べたくなってきた。
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