「ちいさな手」のプロローグ 一枚の写真

 
 一枚の写真がある。



 
 場所はたぶん、上越の高原。


 
 ヨチヨチ歩きの娘が、しゃがんでわたしを見ている。


 
 きれいな花を見つけたのか、それとも珍らしい虫でもいたのだろうか。


 



 
 左手で指さして
 「ねーっ。おとうさんっ」と言っている。



 




 
 
 たいせつなたいせつな娘。


 
 この3年後に、わたしは入院しちゃったんだ。
 体をすっかり壊して。


 
 
 …死なないでよかった。
                      
(家族っていいなあPart3より)
 

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