危険です:蚊の恐怖
わ:しりーず
「蚊の恐怖」
朝ごはんを食べているとき、とつぜん左のフトモモに違和感です。
見たら、蚊が止まっているではありませんか。これはつまりわたしの血を吸っているのですね。ええ、ちょっと疲れたから足に止まって一休み・・・なんてわけはありません。
「許さん!」と言って力いっぱいフトモモを叩きましたら、手のひら一枚分ほどハズレてしまいました。蚊はもちろん逃げていき、残ったものは、思いきり叩かれた足の痛みと、しばらく後に襲ってきた猛烈な痒みだけです。今年度初の蚊の毒は、まだ免疫のないウブなわたしの体を激しく苦しめます。
「ああ、掻いたらいかん。掻いたらもっと痒くなる。耐えろ、耐えろ。掻いたら蚊に負けたことになるぅ」と自分に言い聞かせ、ただいま痒みに耐え悶絶しつつこのエッセイを書いています。ああ、痒い。掻きたい。
正直言えば、蚊に吸われる血なんぞたかが知ているので惜しくはありません。許せないのは、その痒さです。人のものをとっておきながら、痒みをおいていくという、文字どおり恩を仇で返す蚊の根性が許せません。
考えてみると不思議です。蚊としても、血を吸ったあとに痒みを残さなければ、こんなにも人間に嫌われなかったろうと思うのです。痒いがゆえに、蚊取り線香が発明され蚊は己の首を絞める結果になったのです。相手を痒くして、蚊になんのメリットがあるというのでしょう。進化の過程で、刺したあとに痒みを残さない、いや、お礼の意味でも刺し跡に清涼感を残すくらいに気のきいた蚊に変異することができなかったのでしょうか。
と、そんなことを妄想していましたら、今朝の一味でありましょうか。わたしの後ろから「ブーン」と蚊の羽音がして、右耳のあたりで止まりました。
「オノレ、コシャクな!」と、反射的に右手のヒラで思いっきり耳を叩きましたらあらタイヘン。あまりの衝撃に意識を失うところでした。いまもキーンという耳鳴りがやみません。今年の蚊は危険です。危うく鼓膜が破れてしまうところでした。皆さまもお気をつけください。
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