子どもたちへ

 伝えたい・・・ 
 
 
 キミの生まれた日のことは忘れない。うれしくてうれしくて、なんどもキミのホッペに顔をくっつけていた。

 

 子どもたち。

 親には心配かけていいんだよ。どうせ親なんて、どんなときでもキミたちのことを心配するんだもの。いや、モノワカリのいい親を演じているんじゃなくてね。

 

 もしキミたちが急にイイコになったりしたら「うちの子はいい子すぎるんじゃないかな」って、きっとまた心配しちゃうんだもの。

 

 キミたちが悪いことをしたら、そりゃあ叱る。親だもの、しっかりと叱る。でも、だからといって、キミたちのことを嫌いになんか、けっしてなれない。


 信じておくれ、子どもたち。どんなに心配かけられたって、それはみんな受けとめてみせるから。


 そう、たったひとつのこと以外はね。

 

 聞いておくれ、子どもたち。キミたちの死よりも大きな悲しみなんて、私は知らない。


 いまさらだけど、もういちど親を信じてくれないかな。またあのころのように、親を信じてくれないかな。いつも手をつないでいたあのころのように、抱っこされることが大好きだったあのころのように、また親を信じてくれないかな。

 

 難しいかな。頼りないかな。もう、信じられないかな。

 

 死を選ぶ前に、お願いだから、もういちど話しをしてくれないかな。

その苦しみを預けてくれないかな。わたしたちもいっしょに苦しませてくれないかな。

 

 お願いだから、子どもたち。きらいなヤツのために死んだりするな。好きな人のために生きてくれ。キミのことを大好きだって言う人が、キミのまわりに大勢いることに気づいてくれ。そしてなにより、キミ自身のために生きてくれ。
 
 キミがいなくなるその悲しみよりも大きなものなんて、わたしたちにはないのだからね。
 
 お願いだから子どもたち。

 わるい子になってもいいから、ダメな子になってもいいから、ずっとずっと生きておくれ、子どもたち。
 
 
 
 「たいせつなあなたへ」から

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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