置き薬屋さん、ごめんなさい

 彼が最初にうちにきたのは三年くらい前だろうか。
 
 「うちはいらないからー」と断ったんだけど、「お願いですから置いてください」と言うので、「きっと使いませんよ」と念押しして置いといた。
 
 半年くらいして、薬箱の検品にきて「はい、お元気でなによりです」と、なにも使われていない薬箱を確認し、帰っていった薬屋さん。
 
 そんなことを5回ほどくり返したろうか。
 
 
 今日は一通り見たあと
「あのー、薬箱、引きあげましょうか?」って薬屋さんが言った。
 
 
 わたしも「そうしてもらったほうがいいかな。無駄足ばかりで申しわけないし」と答えた。
 
 
 昔は富山の薬売りさんの薬箱は重宝したんだけどねえ。
いまってほんとに飲まないんだもん、置き薬。
痛み止めだの熱さましだのって(おなじか)、たいてい買い置きがあるしね。 
 
 
 そんなわけで、薬屋さん、ごめんなさーい。
 
 
 
 
 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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