がんばったっていいじゃないですか

わシリーズ

 

「がんばったっていいじゃないですか」

 

　春に花咲くジンチョウゲが、わが家の庭にも植わっています。まだ冬なのに、よく見ると、もう蕾が色づいているのですね。

　それを見て「ああ、がんばっているんだな」と思いました。

　ここ数年、使うことをちょっとためらってしまう言葉が「がんばれ」です。

　上からものを言われ、努力を強要されているようでイヤがられることのある言葉「がんばれ」。「こんなにがんばっているのにまだがんばれなんて、そんな無責任なこと言うな！」と怒られる言葉「がんばれ」。

 

　がんばりたくてもがんばれなくなっている人がいることは知っています。がんばりすぎて、倒れてしまった人がいることも知っています。

 

　そういう人たちを「これまでよくがんばってきましたね」とねぎらいたいと思います。そして、次のがんばりのために、いまはちょっと休んでいてほしいと思います。

　がんばりたいのにがんばれないことは、けっしてあなたが怠けているからじゃないんだからと伝えたいです。怠けないで走ってきたからこそ、そこで倒れてしまったのですからと言いたいのです。

 

　そして、それを承知の上で言わせてください。「がんばれ」って言葉、わたしは嫌いじゃないのです。ええ、上から命令されるような「がんばれ」はイヤですけれど、相手のしあわせを祈るように願うようにいう「がんばれ」があることを知っているのです。

 

　ある講演会が終わったあと、体の中に大きな病気を持っているという女性が話しかけてくれました。

　彼女は、「負けない。がんばる」と言ってくれました。だからわたしも「がんばれ」って言いました。

　彼女は「がんばらないで」という言葉をかけてもらうのが辛いですと言いました。これまでがんばってきたことが否定されてしまうようで悲しいです、と言いました。

　だからわたしは、これからも彼女に「がんばれ」と言い続けます。祈るように、願うように「がんばれ」と言い続けます。

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