公募のころ

  Amazonで「公募ガイド」を見つけた。定価580円。
送料なしで届けてくれるそうなので、ポチッとボタンを押した。


 昨日押して、今日届いている。素晴らしい。


 じつは、「公募ガイド」でわたしはエッセイストになった。
モノカキになりたい思ってはいたけれど、出版社に知りあいはなく、相談できる人もなく、コネもなく、ただ「公募ガイド」だけが頼りだった。


 自分の書けそうなジャンルに公募し、その結果を待つ日々だった。

やっぱり、失意の日々。
 
 モノを書くのが得意だったわけじゃない。
 国語の成績がよかったわけじゃない。
 
 ただ、そのときのわたしは、人に会えなかった。人と話をすることが、とっても苦しかった。
 
 それでも、人と繋がっていたかった。だから、なんか書いてた。なんか書いて、世の中と繋がっていたかった。
 
 でも、書いても、そのときは誰も読んでくれなかった。
 
 
 オレの書くのなんか、この世の中から求められていないんだ。
 だれもおもしろいなんて思ってくれないんだ。
 あるだけ迷惑なのかもしれない。いっそ、ないほうが、いいのかもしれない。
 
 
 それでもあきらめていなかった。
だいじょうぶだだいじょうぶだ。
 きっとオレはだいじょうぶだ。微かに、そう思い続けていた。


 だから、「大賞です」という電話をもらうことができたんだ。
大賞をもらって、連載をもらって、その連載を読んだ東京の出版社が本にしてくれた。
 
 その本を、こんどは日報の人が読んでくれて連載をくれた。
 「家族っていいなあ」が始まった。

 


わたしはこれからも書いていきたい。


 公募ガイドを手にとって、あの当時の気持ちを思い出した。がんばろう。
 
あの当時とちがって、いまは求めてくれる人たちがいる。がんばろう。
 
 
 公募ガイドを開きながら、新しい分野にも公募してみようと思っている自分がいる。いいんじゃないかな、そういうことも。
 
 うん、いいぞいいぞ。がんばろう。
 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

0コメント

  • 1000 / 1000