キンモクセイが薫りました

 「・・・ おやっ?」
 
 と薫りに気がついて、顔を向けたら、そこにキンモクセイの花がいました。
まだとってもちいさいですけれど。
 
 あの日の娘の手のようで。


今年も咲いてくれたね金木犀。




 保育器にいるキミの手を、おとうさんの指でさわってみました。


 赤ちゃんの手はこんなにちっちゃいんだなと思いました。
 こんなにちっちゃいのに、ちゃんと爪が生えているんだなと思いました。
 ちいさなちいさな手でしたね。
 
 
 あの日、
 おかあさんは、
 命がけできみを
  産みました。
  
 きみも命がけで、
  生まれました。
 
 こんどはおとうさんが
 命がけできみとおかあさんを守ります。


 
 
 窓を開けたら、キンモクセイ。
 ほっと優しくかおっていました。
 
 
 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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