つるかめバンザイ
長井には朝の7時半に到着した。
やはり、雨。
左端は、写真撮影にひとり出遅れる斎藤きら子(仮名)。
さて、ここでやたら食ってるオンナを発見。それはエロエロEROちゃん(仮名)であった。
「気合が入らなーい」なんて言いながら、ゼリーだのナンだのを黙々と食ってる。
気合が入らなくても食べものは入るようだ。
「10キロ走るのに、そんなにカロリーは必要ないと思う」・・・というメンバーからの意見は「だって、食べたいんだもん!」の一言で却下された。
外を見てみると、雨はやまず、いや、かえって強くなっている。
ここで櫻井とめ(仮名)がわたしと斎藤きら子(仮名)のためにゴミ袋を使った雨具を作ってくれた。長丁場になるフル組は、このゴミ袋雨具を使って走れと。これが後々大助かりであった。雨具をつけていない人はトリ肌たてて走っていたもの。
スタートは9時半。
10キロ組は前のほうに並んで、フル組のわたしと斎藤きら子(仮名)は最後尾へいった。
パンと地味な音が鳴ってスタート。
最後尾が動き出すまでに少し時間がかかる。そして、動き出してもしばらくはのろのろ。こののろのろが終わると、こんどはスピードが乗ってくる。
しかし、このときがクセモノなのだ。早く前にいきたいという衝動と本番という高揚感で、実力以上にスピードが出てしまう。短い距離なら、それもいい感じで結果に出るかもしれないが、フルでは厳しい結果になることが多い。
時計を見ながらそこを気をつけた。
やはり、かなり速い。キロ6分を切る展開。しかし、それじゃあ斎藤きら子(仮名)はゴールまでもたない。
「もっと落とそうぜ」
ゆっくりになる二人。
そうこうしていたら、前方から走ってくるランナーが見えた。速い。
もう10キロの部の折り返しの先頭ランナーがやってきたのだ。
ひとり、ふたりと数えていって、なんと9番目に見えたのはくまくまきょー(仮名)ではないか!
おお、すげーぞ。こんなに上位にいるなんて。
「9番目だぞ、がんばれー!」と声をかけた。
いつになく真剣な顔でくまくまきょー(仮名)も手をあげ応えた。
あとできいたところでは、一時は先頭を走ったとのこと。強豪ぞろいのマラソン大会で、一時とはいえ先頭を走るとはなんたる快挙。
そのあとしばらくしたら櫻井とめ(仮名)の姿が見えてまたビックリ。彼女はわたしの同級生。わたし同様かなり年老いているはずなのに、なんとも素晴らしい走りだろう。彼女は女性の部4位で入賞した。
そのあとまたもビックリ。エロエロEROちゃん(仮名)が走ってくるではないか!
気合が入らないとか言いながら、スタートしたら機関車トーマスになった気分で10キロを駆け抜けたそうだ。きっと、「だって、トーマスなんだもん!」と言いながら、前にいる人たちを抜いていったのだろう。
そしてなんと彼女は女性の部7位になったのだ。まだマラソン3回目にしての快挙である。ちなみに、スタート前に食べすぎたため、お腹がチャポチャポ鳴っていたそうだ。ほらみろ。
さて、我らフル二人組は、その後も淡々とキロ7分ペースで最後尾を走っていた。途中何度かトイレにいったり、エイドステーションでゆっくりとストレッチしたりで、最後尾をキープ。
今回はあまりの寒さに汗も出ず、なんどもトイレにいった。とくにわたしは大会新記録のトイレ5回。トイレで使ったロス時間は10分以上と思われる。
折り返し地点からゆっくりと順位を上げていく予定だった。
それは我々がスピードアップするからではなく、ペースを誤って弱っていったランナーたちをが出てくることを予想して。
しかし、予定より早くその時間帯がやってきた。17キロを過ぎたあたりから、一人二人と抜いていく。冷たい雨でペースを乱している人が多かったのかもしれない。
じつは、ここまでは走行中の写真が一枚もない。
雨がひどすぎてカメラが出せないのだ。わたしのカメラは防水じゃないし、それに手がかじかんでいるので、シャッターも押せたかどうか。
折り返し地点からは、10キロの走りを終えて応援サポートにまわってくれた櫻井とめ(仮名)が写真を撮ってくれた。
かなりの雨。
けっこう辛い状況なんだけど・・・
それでも仲間が手を振りカメラを向けると笑顔になれる。
そこが斎藤きら子(仮名)の単純で強いところかな。
これまで走った最長距離はハーフまで。
しかも15キロくらいから壁が出るという斎藤きら子(仮名)。
走力的にはちょっと疑問なところもあったけれど、彼女なりに考えてきたこともあるようだし、とくになにより「挑戦したい」という気持ちを、仲間たちは優先した。
これまで彼女は裏方にまわり、選手のサポートをたくさんしてきた。今日は彼女が主役だ。仲間たち全員で彼女のサポートに回った。
イーブンペースで淡々と走る。
疲れたら、歩く。歩いても、またすぐに走る。
折り返し地点からは、さらに抜く数が増え、だんだん順位が上がってくる。
5時間25分。ゴール100メートル前で斎藤きら子(仮名)がダッシュ!
おーい、オレを置いていくなー。急にスピードをあげるから、ゴール前にカメラが戻るのが間に合わない。
けっして楽な挑戦じゃなかったろうけど、それでも笑顔で成しとげた。
このあと、迎えた仲間たちと共に彼女は泣いた。
わたしはそれを横目で見ながら雨を避けて室内へ(薄情なヤツ)。記録表をもらいシャワーを浴びてホッとした。ミッション完了。斎藤きら子(仮名)、無事ゴール。
10キロ組の3人。表彰されて大喜びの櫻井とめ(仮名)。
走り終えてシャワーを浴びて、豚汁食ってるわたし。
やっぱり疲れが顔に出てますね。
ちなみに、豚汁やエイドステーションには、こういうかわいいボランティアたちが活躍している。
豚汁食べる斎藤きら子(仮名)とのツーショット。
長井をあとにして、5人は新発田経由。
夕ごはんは萬福さんで食べた。
このとき、能登の長谷川Ha-Seくん(仮名) から、「完走しました!」のメールが入った。
一同、箸を置き拍手した。
よっしゃ! よかった! よくやった!
みんな、彼のことが気にかかっていた。
なかなか連絡がこないのは・・・電話の電池が切れたのかなとか、今ごろゴールして風呂入っているんだよとか。
100キロ完走おめでとう!
つるかめ、ばんざい。みんなステキだ。
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