島を出たら読んでください

 
 夢を見ていた。
 
 わたしはちいさな南の島にいた。
 
 そこで年配の女性から誕生日のプレゼントを渡された。
 
 木でできた複雑な部品が入っている箱。設計図は、ない。ただ、部品の接続部分に番号が打ってあって、同じ数のところを合わせて組み付ける。
 こまかい部品ばかりで、できあがりが想像できなかった。


 「完成すればステキなものがあらわれます」と言い、彼女は去っていった 。




 作っている最中に、手紙を見つけた。
 
 手紙の表には薄く「組み立を終えたら島を出て、船の中で読んでください」と書かれてあった。


 そこには、ある事件の真相が記されているはず。


 じつは、わたしはその事件を取材のために島にきていた。


 島を出るまで封を切ってはいけない。わたしはそれを守り、いっしょうけんめい組み立てていた。 




 
 し、しかし、島を出る前に目が覚めた。
 
お寺の鐘が6時でゴーンと鳴って、それで目が覚めたあ!


 組み立てているのがなんなのか、手紙になにが書いてあったのか、なーんもわからんまま目が覚めた。


 きーっ。
 夢だけど、くやしー。


 
 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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