新潟の冬の太陽

 わたしが子どものころは、新潟の冬はいつだって鉛色の空だった。
太陽なんて冬のあいだはないものだと思っていた。
 
 「お正月には凧あげて、コマを回して遊びましょ♪」なんて歌は冬でも雪の降らないトーキョーの歌だと学校の先生から教えられていた。暴風雪の新潟で凧あげやコマ回しなんぞしてたら命にかかわる。
 
 いつからだろうか、正月に雪がなくなったのは。 
 いまから三十年、SRというヤマハのバイクを買って、正月にツーリングにいった。
「雪のない正月なんて滅多にないんだからな」と言われて、震えながら走った。
 
 それからも雪のない正月は何度もあった。
いや、雪のないほうが多いのじゃないか?
 
 それまでは鉛色の空ばかりだったのに、青空もよく出てくるようになった。
 
 冬の青空・・・太陽が低くて眩しい。
朝と夕方。とくに眩しい。車を運転していると、カーブミラーの先に太陽があって見えなかったりする。


 それでもやっぱり青空がうれしい。
 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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