ちいさいおうち

 夢を見ていた。


 雑木が両側から茂り、薄暗くトンネルになったような小路を歩いていた。
 
 その突き当たりを右に抜けると、そこに家があった。



 あっ、この家はもしかして・・・


 
 コンコンコン
 ドアをノックして声をかけた。
 「こんにちは」


 
 「はい」と
 出てきた人は、少し齢とった女性だった。


 優しい笑顔で迎えてくれた。
 
 「はじめまして」と、わたしも笑顔で言った。
 
 「いらっしゃい。どうぞお入りなさい」


 「ありがとうございます」
 「お待ちしていましたよ」
 
 わたしがくることを、知っていたように迎えてくれた。


 「あの、えっと、この家は、もしかして・・・」
 「うふふ。そう、あなたがいま思ったとおりですよ」
と女性は言った。


 「ほんとにあったんだぁ・・・」
 「ええ、ずっと前からありましたよ」


 その家は、
子どものころに絵本で読んだ「ちいさいおうち」
 
そのものだった。


少しくたびれてはいたけれど、あの、「ちいさいおうち」がそこにあった。




ほっとして、目を覚ました。
 

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