オマエはいくつだ?

愛犬ハチは、生まれてからもうすぐ16年になる。

人間の年齢としたら、かなりの高齢であろう。



16年前、娘が「犬あげます」の貼り紙を見つけてもらってきた犬。



我が家は代々柴犬を飼っていたってのに、娘が見つけたのは真っ黒い雑種の洋犬タイプのメス。

まったくかわいくない・・・と、最初は思った。



でも、飼えばやっぱりかわいい。

それに、頭がいい。わたしの気持ちをすぐに理解する。

こんな犬、はじめて。



子どもたちがオトナになってわたしから離れていっても、ハチはずっとわたしのことが好きで、わたしの姿が見えるととってもうれしそうにシッポを振ってくれた。



いま、ハチはだいぶ衰えた。

寝ている時間がとっても増えた。耳も遠くなった。目もよく見えるのかどうか。



それでもハチは、もらわれてきたときの気持ちのままだ。

お父さんのこと、大好き。

お父さんの手がハチの首に触っていても平気。

お父さんがハチの首を絞めるなんてことするわけないもの。



わたしもハチの口の中に手が入っても平気。ハチが噛むなんて思わないもの。お互い、信頼しきってる。





ハチは今年死ぬかもしれない。



ハチが死にそうになっても、病院は連れていかないことにした。

ハチもきっとそう思っている。病院、嫌いだもの。



ハチは、病院よりもお父さんのそばにいたいと思うもの。

知らない病院に入って数日長く生きるより、お父さんのそばにいたいだろう。



ハチは死ぬときも、わたしが「ハチ」と呼んだら、きっとシッポを振るだろうな。

でも、弱っているから、ほんの少し振るだけだろうけど、それでも、嬉しくってパタって振るだろうな。



ハチはうちにきて幸せだったにちがいない。

わたしはいい飼い主じゃなかったかもしれないけれど、ハチはわたしのことを大好きと思ってくれた。

他の家の犬たちは、ハチよりもっと可愛がられたかもしれないけれど、ハチはそんなことを考えたりしない。



いまいるこの家のことが大好き。ほかのどの家にも行きたくない。



病院なんか、いかない。ここにずっといる。






uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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