ひとつ約束を破る
「最後のときまで、ハチのきらいな病院にはいかないよ」と約束していた。助からぬ命なら、病院にいかず自宅で看取るつもりだ。
この数日はエサを食べず。日々弱ってくるのがわかる。
たぶん、今日か明日、ハチは死ぬ。
でも、もしかしたら栄養を与えれば元気になるのかもしれないじゃないか。そう思ったら耐えられなかった。
ハチとの約束を破って、病院に連れていった。
これまでは、病院に入るといろんな音や臭いに恐怖を感じて過呼吸になっていたのだが、もう、そんなふうに反応する体力もなかった。
わたしに抱かれて、床に寝ていた。
呼ばれて診察台の上に乗せた。やっと立っているが、踏んばりが効かない。押えていないと崩れ落ちる。
その後、レントゲンと血液の検査。
肺に大きな影がある。水が溜まっているとのこと。
このままでは、やはり今日か明日までだという。
これから酸素の部屋にいれ、肺の水を抜く薬を注射する。それがうまくいけば・・・
ハチは、床に横たわっていた。
夕方また電話をくれるそうだ。
ラジオの時間は電話にでられないので、5時半までに電話をもらえるようお願いした。
「じゃあ、よろしくお願いします」
そう言って診察室を出ようとしたら、それまで寝そべっていたハチが、ふらふらと立ちあがった。
「おとうさんといっしょにいく」と言っている。
閉めかけたドアをもういちど開け、足早にハチのところにいった。
ハチ、ごめんな。
ずっといっしょにいるって言ったのに、おとうさんはウソついた。
ごめんな、ハチ。ラジオが終わったら、すぐに迎えにくるからな。
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ブログで愛犬ハチのことを書かせてもらいました。多くの人から励ましのメッセージをいただき感激しています。
ハチは、今夜は病院にいるままにしました。
ほんとうは自宅に連れて帰って最期をみとるつもりでしたが、治療がうまくいき肺に溜まった水がかなり減っているそうです。その治療に賭けることにしました。
このまま家に連れて帰れば明日の朝までもたないかもしれず、ハチとの約束をまた破ることになりましたが、ハチの顔に口をつけて「ハチ、がんばろうな」と伝えて別れてきました。
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