インフルエンザになったと思ったことがあったけど

 40年近く前の話。

 学生時代、木造アパートの一階に住んでいた。



 季節はたぶん冬。

 あの日はテレビ(共同)で映画のマイウェイを見て、風呂(共同)入って寝た・・・ら、夜中にとんでもなく寒くて目が覚めた。



 体がガタガタ震え、寒くて寒くてたまらない。



 部屋にある暖房器具は800Wの電気ストーブだけ。



 そのスイッチを入れてひたすら耐えた。



 体温計を持っていなかったので、いったいどのくらい熱が出ていたのかわからない。それがほんとに残念。きっと、自己新記録はまちがいないと思うんだけど。夢の42度だったりして。



 体温があがりきったら、寒気が消えた。あのガタガタは体温をあげるための体の反応であったのかな。





 その日は、お昼すぎまで誰も部屋にこなかった。



 布団から出る気になれなかったので、いや、出ようと思ってもその力がなかったので、ずっと寝ていた。水も飲んでない。





 午後になったら人がきたので、コーラを買ってきてもらった。



 昔の500は大きなガラスの瓶だった。ホームサイズと言った。それを一気飲み。熱のある乾いた体には死ぬほどうまかった。



 病院にはいかなかった。ちかくになかったと思う。

考えてみたら、大学生のときに病院にいったことってなかったかもしれない。



 学校は四・五日休んだと思う。



 ひさしぶりに行って学食で好物のカツライスを食べたのだが、それがすごく苦かった。カツライスの味が変わったのかと思ったが、そうではなかった。わたしの体が変わっていたせいだ。



 体はやけに弱っていた。

電車の中で立っていたら、目の前が真っ暗になって危うく倒れそうだった。



 数年前から、あれはインフルエンザにちがいないと思うようになったのだが、いま考えてみたら、回りにそんな人は誰もいなかった。インフルエンザが流行っていたなんていう情報もなかった。



 あれが人生唯一のインフルエンザだったと思っていたけれど、もしかして、ただのカゼだったのかもしれない。そうだとしたら残念だし、クヤシー。







 




uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

0コメント

  • 1000 / 1000