ときどき謝りたくなること

 今日から新年度。

息子も東京で社会人第一日目を送っている。無事に過ごせているだろうか。



 もうオトナなのに、どうしても泣き虫だった幼い頃ばかりが思い出される。がんばれ。





 まあ、息子はいいや。親が心配してもしなくても、なるようになる。



 今日はわたしのことを書こう。



 自分のことを、基本的にはそれほどわるいことはしないタイプだと思っている。泥棒とか傷害とか飲酒運転とか、たぶんこの先もしないと思う。



 家族にも、そう。

 意図的にわるいことをしようとは思わない。

 できれば穏便に暮らしていたい。



 でも、ときには謝まりたいこともあったりする。

とくに、妻に。



 妻には苦労をさせてきた。

わたしがまっとうであれば、妻はもっと贅沢できただろうに。



 勤め人を辞めてモノカキなんてのをはじめてしまったので、収入が不安定になってしまった。



 いや、不安定というのはちがうか。長いあいだ安定して低収入だったと言ったほうが正解だろうか。



 勤め人を辞めてからは、ずっと貧乏させていた。

 妻ががんばって働いていたから、なんとかなっていたけれど。



 世間のヤツに「女房のヒモか?」と言われたこともある。

悔しかったが、ちょっとばかり当たっている気もした。



 子どもたちが無事に成人してくれたのは、妻がいたからだ。

感謝している。あの頃があるからいまがある。



 お世話になっている日報事業社では、印税は年に一度、実際に売れたぶんで計算して口座に振りこまれるが、ほかの出版社から出す本は、印刷したぶんをソッコーでくれる。



 たとえば、10,000部印刷すれば、売れようが売れまいが、10,000部の印税が入る。

 だから、できるだけ高い定価でいっぱい刷ってもらえれば嬉しいのだ。

 もっとも、ぜんぜん売れないなんてことになったら申し訳ないので、あんまり刷ってもらうのも気がひける。気がひけるけれど、お金が振り込まれるのはやっぱり嬉しい。



 先日、ある出版の本の印税が口座に入った。わたしとしては、けっこう大きいと思える額だった。はっきり書けば300万円。一年暮らすにはちょっとキツイかもしれないが、この先、もっと印刷されればいいわけで。

 

 ま、ちょっとがんばったなと思った。

だから、自分にご褒美をあげたくなった。いや、ほんとは妻にご褒美をあげたらいいのだけれど、そのあたりがわたしの悪質なところである。自分の欲望を優先してしまう。



 前から、どうしても欲しかったモノを手に入れたいと思った。

それは、腕時計。先日も買ったばかりじゃないかと言われそうだが、うん、たしかに買った。しかし、それは本命のための代替品と言える。本命を買えないので、それで我慢しようと自分に言い聞かせる代替品。しかし、代替品ではやはり満足できない。日々増してくる所有欲。



 妻よ許せ。

 とうとう買ってしまった。ロレックスのバブルバック。



 ほら、すげーだろ。

 だってほら、こんな上物、これからどんなに金を積んでも手に入らないかもしれないんだ。



 文字盤もベルトもリューズもみんなオリジナルなんだ。



 これが300万なら安いってば。

ぜったい900万以上の価値があるシロモノなんだから。



 な、だから怒らないでくれ。謝るから。

 もう買っちゃったんだからさ。ほかになにもいらないから。

 もっと働く、もっと稼ぐからー。





なーんてことを、4月1日だから書いてみたりする。

うう、欲しいわあ、これ。実際は50万くらい?

 


uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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