夜の10時に突然に

 夜の10時に、妻が部屋に呼びにきた。



 「お婆ちゃんが、メマイで動けないって」



 またか、と思った。 以前メマイで入院したことがあるので、またそれかと思った。



 家の奥にある小さな部屋で、固く目をつむったまま横になっていた母。扇風機が回って、テレビがついていた。



 夕ご飯のあとテレビを観ながらウトウトして、さて、寝る前に風呂に入ろう・・・と思ったところで目が回って、そのまま体を動かすことができなくなったらしい。力をふりしぼって妻を呼んで、妻もそれに気づいてくれたのがよかった。



 血圧を計ったら上が150~170。下は忘れた。ま、こんなときはこんな数字であろうと思い、さて、次はどうしようと考えた。



 日中なら救急車であろうが、夜中は外来患者もいないであろう。とりあえず、病院に電話して、母の状態を伝えた。いちど入院しているから、このあたりは、話もよく通じる。時計を見たら10時15分。すでに15分すぎていた。



 救急車でなくても、救急外来に直行で診てくれるようなので、自分ちの車でいくことにした。夜中にサイレン鳴らしてご近所さんに知らせるほどでもなかろうと判断した。



 診察券と保険証と、入院かもしれないのでスリッパも持って病院へ。電話してから30分で行くと伝えたけれど、実際は45分かかってしまって11時に到着。信号待ちがあるぶん、救急車よりは時間がかかる。







 車椅子に乗せ、母を治療室へ。

 その後30分以上動きがない。1時間近く経ったら、母がストレッチャーに載せられMRIの検査に運ばれていった。



 そして、そのあとまたしばらくして先生に呼ばれた。「脳は、異常がありません」と。とりあえず入院しても家にいても同じだろうから、いったん家に帰ったほうがいいという診断に、安心したような不安なような。



 まあ、一刻を争うようなことじゃないということで喜ぶべきなのだろう。



 「メマイは繰り返しますから」ということで、母は、なんの兆候もなく襲ってくるメマイに恐怖を感じている。



 体が疲れているせいかもしれないので、しっかり食ってしっかり休んどけと言いながら、家のベッドに寝せた。



 今回の騒ぎで、多くの人からお見舞いの言葉をいただいた。

 うれしい。ありがたい。

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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