分団長から小学校の皆さんへ


 今日の避難訓練、たいへんよくできていました。



 皆さん、じょうずに体育館まで避難してくることができました。




 実際の災害のとき、こういう状態で避難所までこれたなら、とりあえずは安心です。

 


 そのあとは、わたしたち消防団やオトナの人たちが、皆さんを守ります。


 


 でも、災害が起った瞬間は、そこに誰もオトナがいないかもしれません。そのとき自分の命を守るのは、皆さん自身です。




 


 そんなときは今日の訓練を思い出し、安全な方法を考えながら命を守ってください。そうやって考えることによって、皆さんは経験値を上げてレベルアップしていきます。




 わたしたち消防団のことをお話しましょう。

 わたしたちは、消防署の人とはちがいます。


 ふだんは会社にいったり農業したりお店をやったりしている人たちです。


 


 そして、なにか災害があったとき、つまり、火事や地震や水害があったとき、皆さんを守るために活動します。



 そして、そのときにしっかりと動けるように、訓練をしています。

 わたしたちの訓練も経験値です。経験値を増やして、そしてレベルアップしていくのです。


 


 この地域(分団と言いますが)には150人の消防団員がいます。



 皆さんのなかにも、おとうさんが消防団だという人がいると思います。




 休みの日に訓練があって、皆さんと遊びにいけないときもあるかもしれません。



 お祭りの夜には見まわりがあって、皆さんとお祭りにいけないときがあるかもしれません。皆さんも辛いかもしれませんが、おとうさんも辛いことをわかってやってください。


 


 親はだれでも皆さんを守りたいと思っています。でも、大きな災害があれば、一人では守りきれないことも知っています。だから、集まって大ぜいになってその役目を引き受けなければいけません。その役目を引き受けた人たちが消防団なのです。




 わたしが消防団に入ったのは、わたしが結婚したばかりのころに消防団の先輩が家にきてこう言ったからです。

 


 「キミが子どものころ、キミはオトナたちに守られていた。そしていまキミはオトナになった。だからこんどはキミが子どもたちと、そしてキミをそれまで守ってきてお年寄りになった人たちを、しっかりと守ってくれないか」と言われたからです。そうか、守る番がきたのだなと思って、それで、消防団員になりました。


 


 皆さん、いまはオトナを信じて安心して守られていてください。

 


 そして、皆さんがオトナになったとき、こんどは皆さんが子どもたちを守ってください。そして、そのときは齢をとって体がよく動かなくなっているかもしれないわたしたちを守ってください。順番で守っていきましょう。


 


 今日見ていてわかりました。皆さんなら大丈夫です。


 今日は本当によくがんばりました。訓練、ありがとうございました。


 


 おわります。


uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

0コメント

  • 1000 / 1000