新学説
最初、地上の生物は酸素を必要としなかった。
いや、そもそも地球には酸素がなかった。
あったのは、二酸化炭素と水素と水と太陽の光だった。
あるとき、それを使える命がピョコッと生まれた。
いや、そもそも地球には酸素がなかった。
あったのは、二酸化炭素と水素と水と太陽の光だった。
あるとき、それを使える命がピョコッと生まれた。
二酸化炭素と水素から糖を作り出して生活する光合成バクテリアだ。
彼らはがんばった。
そこからさらに進化して、二酸化炭素と水から糖を合成できる生物が出現した。
植物だ。
植物の時代が長く続いた。
植物は二酸化炭素を吸って酸素を出した。
気がつけば、地上に酸素が増えていた。
しかし、酸素は植物にとって猛毒だった。
酸素が体にくっつくと、酸化してボロボロになる。
いつしか酸素の濃度が許容量以上にあがり、植物たちはジワジワと死んでいった。
しかし中には、酸素にふれても平気な特性の植物がいて、そいつらだけが生き残った。
酸素にふれても枯れない植物たちの時代が長く続いた。
その長いあいだに、酸素を吸う生物が出てきた。
酸素を吸って細胞の中のミトコンドリアに取り入れて、ブドウ糖と結合させ酸化させることによって高いエネルギーを得ることができる生物が出てきた。
高いエネルギーは、その生物の動きを植物のそれとはくらべものにならないくらい高めた。
動物の発生である。
そう、オレたち動物は酸素を吸って酸化しながらエネルギーを得ているのだ。
ああ! 話が終わらない。
オレが言いたかったのはそんなことじゃない。
雪かきってすごい重労働なんだぜってことなんだ。
ぜいぜいぜいって息が切れるんだぜ、ぜいぜいぜい♪
雪除けのあとに昨日はボクシングのトレーニングもいったんだぜ。
パンチもらわなくてもダウンしそうなくらい疲れたんだぜ、ぜいぜいぜい♪
ボクシングから帰ってきて、あずきの散歩も行ったんだぜ、ぜいぜいぜい。
犬ゾリみたいにひっぱるから、あずきもぜぜいぜいぜいだし、それを抑えて走るオレもぜいぜいぜい♪
こんなふうに、たくさんのエネルギーを使っているんだぜ。
しかし、「雪かきで体重が落ちるかと思ったのに、ぜんぜん変わらない」
とか
「オレ、増えたし」なんてことを聞くじゃないか。
それはなぜだ!
そう!
もしかしてオレたち!
吸った酸素をブドウ糖と結合させてエネルギーにするだけではなく、吸った酸素をカロリーにして体内に蓄えることができる生物に進化したのではないか。
だから、運動しても体重が増えるんだ。
やったぜ、新学説。
オレ、すげー。
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