犬のいいところ

 犬のいいところ。



 こちらがどんなにいい服を着ていようと、「ダイスキ大好きー♪」と関係なく飛びついてくるところ。



 自分が名門の生まれだとか、わけわからん雑種だとか、そんなこと一切気にせず、優越感も劣等感も持っていないところ。



 飼い主が美形であろうがブ系であろうが金持ちであろうがビンボーであろうが一部上場の社長であろうがプー太郎であろうが若かろうが年寄りであろうが関係なく、ただただ好きでいてくれるところ。



 そう、自分が選んだわけじゃない飼い主のことを、ただただ好きでいてくれるところ。 

 いつだって、飼い主のそばにいたいと思ってくれているところ。





 犬を見ていると、いつも思う。

 気持ちは幼い子と同じなんだなって。

 おとうさんダイスキって、あずきはいつも言っているもの。



 ちがうのは、人の子は時間とともに心もオトナになっていくけれど、

 でも犬の心は、ずっと心は子どものまま。



 子どもの心のまま、15年でこの世からいなくなる。



 人と比べたら、とっても短い時間しかこの世にはいられない。

 生まれたときから余命はだいたい15年。

 人より短い時間しか持っていないから、その短い時間の間に、大好きな人に「ダイスキ大好き」って一生懸命に伝えているんだ。ひとりぼっちでいる時間がモッタイないんだ。



 あずきはこの梅の花を、あと何回見ることができるのだろう。





 あずきは、いつでも忙しい。

 まだこの世にやってきて1年半しかたっていないから、わからないことが多すぎる。

 なんでもかんでも珍しい。

 いろんな匂いが気にかかる。





 犬のいいところ。

 自分が飼い主を好きでいるように、飼い主も自分のことを好きだと思ってくれること。

 自分が飼い主を裏切らないように、飼い主も自分を裏切らないと思っていてくれること。

 そして、この先もずっといっしょに飼い主と暮せると信じてくれているところ。



 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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