忍者になりたくてー♪

 いま考えると、ちょっと「へんかな?」と思ったりもするけれど、ハタチのころは、わりとマジメにがんばっていた。あのころわたしは、忍者になりたかった。



 空中に浮いたりする超能力の類いの忍術ってのはまあ架空の話と思っていたけど、忍者の体術というのかな、感性をギリギリまで研ぎすまし危険を察知するという、まさに忍びの術。それを極めたくて忍者の通信教育を受けていたのだ。いや、本当の話。



 そのころはまだ学生であるから、修業をしながら学校に通っていた。

 ゼミの選抜試験で自由課題の論文があり、なにを書いてもいいというからバカ正直に「忍者になりたい」ってことを書いた。自分はどのような修業をしているとか、最終的には天井を逆さになって移動していたいとか・・・。



 そしたら選考過程で教授が「ヘンなヤツがいる」と先輩ゼミ生の皆さんの前でその論文を読みあげて「ヘンだから、落とそーか」みたいな話になったそうだ。



 しかしそこに知己の先輩がいて「そ、そいつ、ちょっとバカなんで、ほっとくと危険だし、なんとかこのゼミに入れてください」とお願いしてくれて、見事合格。いやー、いい先輩がいてよかった。



 なんでもいいと言われたからって、なんでも書いちゃイカンのだなあと思った次第であった。



 「今夜は無礼講だあ!」と言われてその気になって、上司の頭を「おつーむテンテン」なんてやっちゃったら破滅だし。



 なお、忍者の修業はその後も続いたけれど、だんだんとオプションで、武器の「鎖鎌」だの「手裏剣」なんかをビンボウ学生が買うにはたいへんとなり、経済的な理由でわたしは忍者の道を断念してしまったのだ。忍者会にとっては大きな損失だったにちがいない。



 いまなら武器購入資金はなんとかなりそうだけど、体がついて行かない。

 ちなみに、これはAmazonの忍者セット445円也。やっすー。プラスチックだと思う。ほんとの忍者用の武器は桁が二つほどちがったかも。








uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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