Kの長い日

 
 
 
 
 
 毎朝練習にきて、選手たちが広げたホースを巻き直したりコースの整備をしたりの下働きをしていた男がKです。
 
 彼は、七年前の大会では栄光の1番員でした。
 
 ややナマイキなことを言ったりするとこもありますが、人並み以上の努力をしていたことを、わたしはよく知っていました。苦しくとも、文字どおり歯を食いしばって走っていた姿を忘れません。
 
 きっとこの班は3位以内、いや優勝だって夢じゃないと言われていましたし、わたしもそう思っていました。
 
 
 でも、大会当日、力が入りすぎて彼は失敗してしまいました。一発勝負の本番。やり直しのできない世界です。
 
 


 あれから7年。
彼はまだ消防団に残っていて、また自分たちの班が操法大会に出る順番となりました。
 


 彼は、一日も休まず練習に顔を出し、選手のために黙々とがんばっていました。
 


 今回、彼の班は賞をいただきました。
 あの、失敗した日から7年かかりました。


 あの日から、彼はずっと悔しかったと思います。
 彼の長い大会が、今日終わったのだなと思いました。
今日、リベンジできたと思いました。
 
 彼に、そして、みんなにおめでとうと言いたいです。
 
 みんなよくがんばりました。おめでとう。

 
 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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