消えてしまいそうシリーズその○回 大顔の乙女

久しぶりの「 消えてしまいそうシリーズ」です。
まだこのシリーズは消えていませんでした。
 
 
~大顔の乙女~
 
 中二の娘は悩んでいる。それは、彼女の顔が丸くて大きいということ。


 保育園に入ってまもないときにお多福風邪が流行り「お宅のお子さんも発病したようですから病院にいってください」と連絡が入って大慌てでお医者さんに連れていったことがある。結果はまったく異状なし。そのとおり保母さんに伝えたら


「あらら。ホッペが膨れてたみたいでつい・・・」とのお返事。失礼な話である。
 
 それ以来、それがトラウマとなり娘は己の顔の大きさを気にするようになった。

 
 夕ごはんのときに娘は「わたしね、クラスの男の子たちに『おぼん』とか『満月』とかいわれちゃうのよねー」と、ため息まじりにいった。悩める乙女に対し、なんとストレートな物言いをする男の子たちであろうか。
 
 かわいそうな娘をわたしは慰めた。


 おまえの顔がとくべつ大きいなんて思わないが、しかしホントいえば標準よりは若干大きいかもしれない。それでも肩幅よりも大きいわけじゃない。バスに乗るとき顔がつかえて困るようなこともない。せいぜい普通の顔の人よりも、Tシャツの襟首が着替えのときに伸びやすいくらいのものだ。わが国では六百年ごとに丸顔が美人といわれる周期がやってくるというから、そろそろその当たり年かもしれないよ。
 
 後日娘が、「わたしね、幸せになれるんだって」と報告してきた。どうしてと聞くと、「おとうさんに似ている女の子は幸せになるって。学校の先生がいってたよ」との答え。「わたし、みんなからおとうさんにそっくりっていわれるの。ちょっとイヤだけど」
 
 わたしは「オ、オレはそんなに顔が大きくて丸いか?」と動転しながらも、似てるといわれて嬉しかったりして、もしかしてこれも親バカ?
 
 ************おわり
 

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