「います」:忘れられてしまいそうシリーズ

「います」
 
 娘が三才とのときの話。
 
 とても利口な娘だから、上手に電話でお話しができる。
 電話が鳴って娘が出た相手は、わたしの勤務先の上司からだった。
 
 
 「お休みのところ悪いんだけどね、おとうさんはいるかな?」
 そういわれた娘は、さっそく二階にわたしを探しにきた。
 
 ドアを開け、のんびりとテレビを見ていたわたしの姿を確認後、また階段を大急ぎで降りていって、受話器に向かって息を弾ませていったのだ。
 
 「はい、います!」 ・・・ガチャッ。

 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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