祝辞
祝辞:キムリンご夫妻へ
わが友キムリンが結婚した。
安心した。ホッとした。
安心した。ホッとした。
キムリンはその実直かつ誠実な性格ゆえに、これまで浮いた話はなかった。過去になんどか女性にアプローチしたとは思うのだが、きっと「キムリンさんっていい人ね。でも、ご立派すぎてわたしには・・・」と言われて終わりみたいな、とても清い人生を歩んできたはずだ。
そのキムリンが女性とおつきあいをしているという噂を聞いたとき、われわれの心にまっ先に浮かんだことは、「はたしていつまでもつのだろうか」という不安であった。人を傷つけることをしないキムリンは、そのぶん傷つきやすい男でもあったから、わたしたちは心配した。
その後、キムリンからしばらく音沙汰がなくなった。
「ああ、キムリンはとうとうフラれたのだな」と一同納得し、「静かにしておこう、それについては触れないでおこう」と、言葉には出さぬが、そう思っていた。
「ああ、キムリンはとうとうフラれたのだな」と一同納得し、「静かにしておこう、それについては触れないでおこう」と、言葉には出さぬが、そう思っていた。
しかしじつはちがった。二人はわたしたちの心配をよそにさらに愛を深めていた。もうまわりのことなど眼中にない状態にあったのだ。
二人は2009年12月26日に、mixiで知り合った。
そして、翌年の5月2日にはじめて顔をあわせた。
まゆみさんが、新津駅前においしそうなイタリアンレストランができたと書き込みをしたとき、そこにキムリンが反応していっしょに行くことになったのだ。二人っきりの待ちあわせ。いわゆるデート。
まゆみさんが、新津駅前においしそうなイタリアンレストランができたと書き込みをしたとき、そこにキムリンが反応していっしょに行くことになったのだ。二人っきりの待ちあわせ。いわゆるデート。
その日はランチのみならず、新津美術館にもいってガンダムのメカニックデザインをした「大河原邦男展」を見てきたそうだし、その帰りには程島の英進堂書店にも寄ってきたという快挙を成しとげた。キムリンの人生初のトリプル寄り道デート達成の日であった。
その後も二人は月に一回ペースで会って、清く正しく映画にいったり美術展にいったりしていた。
いつごろ結婚を意識したのだと尋ねたら「8月15日の誕生日に、彼女からプレゼントをもらったときです」と答えた。それまでは女性からまともにプレゼントをもらったことのないキムリンであった。はじめて優しくしてくれた女性、それがまゆみさんだ、たぶん。
まゆみさんはいつごろ結婚を意識したのかというと、キムリンより遅れること一月と二週間後の、「はじめてデートで手をつないだとき」という話であった。なんとかわいいことを思う女性であろうか。
その後も二人はなんだかんだと愛を育み、ついに去年の11月14日(日曜日)に、キムリンはプロポーズしたのである。
「どこでどんな顔して、どんなことを言ったんだコノヤロ」と聞いてみれば、その日、秋葉区の中野邸美術館に寄ったあと、保内公園の植物園の裏手の山に登って、その見晴らしのいいところでシドロモドロになりながら「ボクと結婚してください」的なことを言ったらしい。
それにたいしてまゆみさんは即答を避けた。
気持ちはわかる。人生の一大イベントなのだ。
「キムリンさんはご立派すぎて、わたしにはとても・・・」という答えであったら面白いのだが(おいおい)、彼女は帰る車の中で「いいよ、結婚しようね」とメールで返事をした。うん、いい。なんだかとってもいい。
気持ちはわかる。人生の一大イベントなのだ。
「キムリンさんはご立派すぎて、わたしにはとても・・・」という答えであったら面白いのだが(おいおい)、彼女は帰る車の中で「いいよ、結婚しようね」とメールで返事をした。うん、いい。なんだかとってもいい。
二人の人生にはこれまでも紆余曲折があったことだろう。しかし、それは二人が出会うために仕組まれた運命のプログラムだったのだ。キムリンは、まゆさみんに会うためにこれまでフラれてきたのだ。
我々はこころから二人のことを祝福しようではないか。
文豪永井荷風の小説の一節を、二人に贈ろう。
「ねえ。 あなた。
話をしながらご飯を食べるのは楽しみなものね」
話をしながらご飯を食べるのは楽しみなものね」
もう、さみしくない二人。しあわせって、そういうことだとおもう。
おめでとう。
フジタイチオ
フジタイチオ
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