わたしの娘の話をしましょうか
わたしの娘の話をしましょうか。
もう25歳というオトナなんですけど、わたしにとっては、いつまでも子どもです。
ちっちゃなころは、いつもわたしにくっついていましたが、オトシゴロになりましたら、離れていって、もうそばになかなか寄ってはくれません。
寂しいですけど、それが正常な成長の形でしょうね。
ここで娘のエッセイを紹介いたしましょう。
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「幸せになあれ」
生まれたばかりの娘は、とても頼りなく思えました。華奢な首、細い
腕、ちいさな手。すべてをオトナに委ね、まだ一人では生きていけな
いその命。
「この子をずっと守っていこう」と誓いました。そして、娘のホッペ
をさわりながら「幸せになるんだよ」と言いました。
この娘(こ)のこの先予定されている苦しみや悲しみがあるのな
らば、できることなら、それをわたしに全部くださいと、神さまに祈
りました。
その娘もいまは立派なおとなです。もうわたしがいなくても一人
で歩いていけるのですが、それでもそっと後ろに手を添えていたい
と思うのです。気づかれないように、そぉっとそぉっと。倒れぬよう
に、そぉっとそぉっと。
そして、「幸せになるんだよ」と、いつも祈っていたいのです。
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聴いてください。
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