眠れない夜

忘れられてしまいそうシリーズ
「眠れない夜」
 
 昨日はなかなか寝つけない夜でした。風が強くて外がやかましかったせいもありますが、ホントのところは小中学校で同級生だったの女の子からもらったメールのことを考えていたからなのです。


 「女の子」とは言ってもわたしと同じ年齢ですから、世間的には立派なオバサマです。でも、幼いときからの知りあいですから、いつまでたってもワタクシ的には、彼女はちっちゃくてもの静かで優しい女の子のままなのですね。
 
 その彼女からのメールには、この春から東京の大学にいっている息子さんに「ちょっぴり長い手紙」を出したと書かれていました。


 これまでは、面と向かって言えなかったけれど、でもいま言っておかなければならないと思って書いたそうです。


 それは・・・


 「アナタがいてくれてありがとう」という感謝の気持ちと、「お父さんがいなくてゴメンナサイ」という、なにも知らない子をオトナの事情に巻きこんだことへの謝罪。そして「これから先、お母さんは一人で大丈夫ですよ。アナタはお母さんを気にせず、アナタの思うように進んでいきなさい」という、ちょっとせつない応援のメッセージでした。


 息子さんは、お母さんからもらったその手紙を、どんな気持ちで読むことでしょう。ちょっとうれしく、ちょっと恥ずかしく、そしてちょっとせつない気持ちかもしれません。


 彼の成長とともに、この手紙を読んだときの感じ方は変わっていくことでしょう。これから先、つらいことがあるたびに、彼はこのメッセージを読むことでしょう。そして励まされていくことでしょう。
 
 
 さらにメールは続きます。


 「わたしが子どもに手紙を書こうと思ったのは、フジタ君の家族への思いをつづったエッセイを読んだからです。そのときから、いつかわたしも『ありがとう』と『ごめんなさい』の気持ちを子どもに伝えたいと思ったのです。手紙を書くきっかけになったフジタ君のエッセイに『ありがとう』・・・」と結ばれていました。
 


 彼女のメールを読み終えて「ありがとう」は、わたしのほうだと思いました。こんなに真剣に読んでくれて、ありがとうと思いました。


 ベッドに入り、彼女のわが子への愛を想っていたら、その夜いつまでも眠れなかったわたしです。
 
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uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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