新潟マラソン(1) わシリーズ

わシリーズ
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新潟マラソン(1)8/27
 
 2003年の8月、私はお世話になっている総合格闘技ジムで着替えをしていた。
 
 ジーパンを脱ぎ、「おっしゃー!」と気合たっぷり練習用のパンツに片足を通したまさにそのとき、知る人ぞ知るプロ修斗クラスAの風田陣先生がとうとつにおっしゃった。


 「藤田さん。新潟マラソンに出ませんか?」と。


 一瞬「?」状態のわたし。
 
 ええっと、マラソンと言いますと、あの清く正しく黙々と走り続け、ただ辛く苦しいだけのような、なにが面白くってやってるんだよーの、あのマラソンのことでございましょうか?
 
 だとしたら、そんなもの、なぜに私が・・・と、パンツに片足を通したままケンケンしている哀愁の美中年45歳の夏(いまから9年前)


 「フルじゃないですよ。10キロですよ。自分も出ますから、藤田さんもぜひ」


 うーん、10キロの米袋ならば一つくらいは持てると思うが、10キロの道を走れと言われると自信がない。
 
 遠い昔の高校時代に、校内マラソン大会で走ったきりだ。しかも、ほとんどビリ状態。あのときは若かったもんなあ。今は若くないもんなあ。体脂肪増えてるもんなあ。足どり重たいもんなあ。春に心臓で入院しちゃったもんなあ。治ったとはいえ、まだ怖いもんなあ。
 
 と、30秒考えて、「はい、出ます」と返事した。
 
 
 そうなのだ、春先の入院なのだ。完治と言われても、心臓の状態が気にかかって、思いきったことのできないでいる臆病者の状態なのだ、私は。
 
 だから、ここでハードな試練を乗り越え、弱気な心にケリをつけるいい機会なのだと考えた。もっとも、そんなことを思っていたのは私だけであって、家に帰って妻に話したら予想以上の大反対をくらった。
 
 激しく怒られサメザメと泣くイタイケなわたしの運命はいかに。
 
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家族っていいなあPart1より
 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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