いっしょにラーメン
わシリーズ
「「息子とラーメンを」
幼いころは、寝ているとき以外ずっとしゃべっていたやかましい息子も、いまはニヒルで寡黙な大学生です。
なに考えているのか、わかるようなわからないような。悩みなんかも、あるようなないような。人生の迷いも、あるようなないような。
いまの彼を見ていると、親のわたしでもよくわからないことがありますが、まあ、そんな年ごろなんだろうなと、必要以上の干渉はしないよう心がけています。
その彼と、このごろはよくラーメンを食べにいってます。高校生のころは「誰かに見られたら恥ずかしい」なんてことを言って、滅多なことではわたしと出かけることのなかった息子でしたが、大学生になりましてからは、知りあいに会いそうな近所でなければいっしょにいってくれるようになりました。
わたしといけば、自分の小遣いを減らさずにご飯を食べることができるというメリットに気づいたようです。
昨日は車で少々走ったところにあるラーメン店にいきました。そこはわたししか知らない秘密の店。知りあいになどはまず会うことはない場所ですから、息子もホッとした様子で車を降りました。
出てきたラーメンを食べ終わり、息子の評価は「まあまあだね」ということでした。ニヒルな息子が「まあまあ」と言うのですから、きっとわるくはなかったのです。
「もうちょっと量があってもいいかな」とも言うので「よし、次は大盛りにしようぜ」と、さりげなく「またいっしょにこよう」というアピールをしておきました。
車の中では、いまのこと、学校のこと、勉強のこと、将来のことなど、わたしの質問にちっちゃな声で答えてくれました。
「勉強はまあ、そんなに無理する必要はないさ。万が一落第しても、それもまた人生の中のいい経験になるかもしれないしな」だなんて、妻が聞いたらツノを出しそうなこともさらっと言って、ちょっと理解のある父を演じてみたりもして。
そのあと冗談で「そうそう。将来は、お父さんみたいなフラフラしたオトナになっちゃうってのはどうだい?」と聞きましたら、息子は「ふっ」とニヒルに笑って
「それは、ない」と言ったのが、なんだかうれしいような悲しいような、父としては複雑な気分になりましたけれど。
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