おしゃぶり

「息子がオシャブリやめたとき」

 

 

　息子がオシャブリをやめたのは四歳の誕生日からです。

 

　それまでは、ご飯を食べるとき以外、オシャブリを離せない子でした。

　歯並びがよくなるという謳い文句のドイツ製のオシャブリがお気に入りでした。

　それを本来の使い方とはちがって上下さかさまにばかり咥えていたのですが、それでとりたて歯並びがわるくなったようでもないので、わたしも好きなようにさせていました。

 

　オシャブリ大好きな息子は、オシャブリをしたまま保育園にいきました。

　すると、息子のオシャブリを見て「あ、オシャブリだー！」と、他の園児が指さして言ったそうです。それで恥ずかしくなって、「保育園にいるときだけはオシャブリをしないで過ごすから」って息子は決めて、それをしっかり守っていたのでした。

 

　そして、家に帰るとすぐにオシャブリをして満足そうだでした。

 

　それから数ヶ月後、息子の誕生日に「ゆーきね、もう四歳だからオシャブリやめるの」と宣言しました。

 

　「無理してやめることないんだよ」って言ったのですが「ううん、やめるの」と固い決意でした。

 

　そして、その日からほんとにやめたのです。

夜中に寝ぼけてオシャブリを探していましたが、それでも泣くこともなく、オシャブリをやめたのです。

 

　息子を見習い、その日からわたしもタバコをやめようと思ったのですが、完全にやめるまでに十年かかりましたね。