ちか子さんの独り言3(完)

ちかこさんの独り言3
 
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 あのね、生きているといろんなことがあるのよ。
 
 アナタはわたしにいろんなこと経験させてくれた。

 
 コドモ嫌いな自分がアナタを授かるなんて、まずはそれがとっても衝撃的ね。そして、育てる怖さも不安もすばらしさも感動もね。みんなアナタがわたしにくれたの。
 
 ちいさなときのアナタには、ああすればよかった、こうすればよかったって後悔することがとってもたくさんあったの。


 でも、あえて振り返らないようにしていたの、落ち込みすぎちゃうからね。

 
 だって、子育てがすっごく下手だったもの、わたし。ゴメンね。


 うん、いまもヘタよ。でも、あのころよりわかっているつもり。
 
 いま、小さな子どもを育ててる人がうらやましいな。いまならあのときよりずっとうまくできると思うもの。でも、みんな過ぎてからわかるのね。いま赤ちゃんがいたら、またわたしも同じように悩むのね、きっと。
 
 あれから二十年。

 
 あなたとケンカもいっぱいしたけどね、憎んだりなんてけっしてできない。だって、あたしはアナタのおかあさんだもの。
 
 どんどん迷惑をかけなさい・・・なーんて言わないけれど、でもいいよ、迷惑かけてくれてもね。これからだって、ますます心配させてもらうからね。

 
 うん、気にしない気にしない。だって、わたしはアナタのおかあさんだもの。
 
 なんだってだいじょうぶ。神さまに約束したもの。

 あなたがどんなに大きくなっても、どんなに立派になっても、どんなにだめな人になっても、そう、どんなふうになったって、アナタはずっとわたしの子ども。
 
 わたしはアナタのお母さんになったというだけで幸せ。
あとのいいことは、みんなオマケなんだ。

 

 

uni-nin's Ownd フジタイチオのライトエッセイ

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