あの人ですよ
妻が娘といっしょにコートを買いにいった。
「いっといでー」と送りだし、わたしは家でパソコンいじって遊んでいた。
何時間かして帰ってきた。
その後はなんだか二人でファッションショーをやっていて、落ちついたらしいところで娘から声がかかった。
「おかあさんが買ってきたのを自慢しているから見にきて」と。
ほいほいと下りていって部屋の戸を開けたら、妻が黒いダウンのコートを着て立っていた。
いま流行っているという襟の大きなコート。
「ほー、似合うね」と、わたし。
「うん、いいでしょ」とゴキゲンな妻
「うん、いいよ。襟が大きくって、あったかそう。ほら、あの人みたい?」
「だあれ?」
「ほら、歴史の教科書に出ていた、ほら」
「だれ?」
・・・・・・・・・・・・。
「あ、そう、ザビエル。フランシスコ・ザビエル!」
・・・
あっ、な、なんかヘンな空気が流れているみたいだしー。
なんか、激しくビミョーだしー。
フランシスコ・ザビエルみたいってのはほめ言葉じゃないのかな?
髪形が似ているって言ったわけじゃないんだけどな。
しかし、この空気感をなんとかしなければと思ったワタクシ、即座に視点を変えた。
「い、いや、まあ、でもその靴かわいいじゃないか」
「そう? 完全防水なのよ」
機嫌なおったみたい(ヨシヨシ、単純でいいぜ)。
「うん、似合う似合う。まるでキミのために生まれてきたようなオシャレな長靴だね」
「・・・・!」
な、なんか沈黙。
「あ、温かそうだしさ。オレもそんな長靴がほし・・・」
「これ、ブーツだし!」
そんなわけで、オシャレなダウンのコートとブーツを買ってゴキゲンな妻であった(個人の感想です)。ちゃんちゃん。
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